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狂科学者はアブナイお薬

 ドンッ! ドンッ! ドンッ!


 大気に響く重低音。


 僅かに震える地表。


 巻き上がる土煙。


 迸る大気の圧。




 それらの小さな災害を巻き起こしながら、王都まで一直線に進む人影二つ。



 移動用車両を制作した次の日、ハルトとユアは王都へ舞い戻る為、メルガルト領からの短距離走を敢行していた。


 しかし、走っているのはハルトのみ。


 ユアはというと......その腕の中で幸せそうに寛いでいた。


 魔法を魔力任せに並列行使することで周囲への被害を抑えてはいるものの、周囲からの大気圧、音の壁、その他諸々の影響は一切遮断しておらず、それらは腕の中に居るユアにも当然の様に殺到している。


 普通の人であれば全身がミンチ......いや、そうなる前に内臓を破裂させて絶命するであろう状況にも余裕の顔。

 

 それどころか、ハルトの胸に鼻を埋めてその香りにトリップしている。



 とまあこのような感じに、科学者が女神より与えられし『超回復』はその幼馴染へと無駄に強力な加護を与えている訳だが......残念な事にそのことを指摘する者は何処にも居ない。


 そんな幼馴染を抱えるハルト自身はというと......そもそも全力ではない......と言うか全力を出してしまうとクレーターが量産されたりと問題だらけなので出せないで居る。


 そこにユア一人、数十キロの負荷など無に等しく、全く気にしていない様子である。


 ......つまり、




 最早この少女が進む道に障害は無い。



 そういうわけで、王都までの数十分間、己の欲望のままにハルトをくんかくんかし続けていたユアであった。







 ****

 



 「......そろそろ王都だ。降りろ。」

 「うん......。」



 王都の城壁が見えてきたところでユアを下ろすハルト。


 名残惜しそうに身を離すユア。



 「......別に俺は何処にも行かないぞ? 歩きづらいだろ?」



 しかしその手はハルトの腕をしっかりと掴んで離さない。

 そんな幼馴染みの甘えに困惑するも、手を離すことを提案するハルト。


 しかし、


 「やだ。ハル君が足りない。」

 と拒否するユア。


 「......お前の言う、『ハル君』は依存性の高い薬物の隠語か何かか?」

 



 そう突っ込みながらも、城門を通過し、王都の中へと入る二人であった。


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