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狂科学者の荷造り

 移動用に資材を一纏めにして完成した、「車のような何か」へ次々と運び込まれていく実験体入りのカプセル。

 それらは魔力炉と接続され、実験体の肉体的健康維持を継続する。



 全てのカプセルの格納が終わり、次にやってきたのは大きな立方体の金属塊。

 それはハルトの手によって作られたスペースに綺麗に収められ、周囲の回路と接続して全体の制御を掌握する。


 高度な演算能力を獲得した「車のような何か」は、魔力炉からの魔力を用い、自動で変形し、車軸を作り出し、加速を付与された円盤が連動する車輪による自走機能を与える。

 



 「......ま、こんなもんか。」



 そう呟き、作業を終えるハルト。



 取り敢えず大部分の輸送準備は完了した。


 後は研究所の本部を移した後ゆっくりやれば良い。


 なんせ領地だ。

 一つの街の数十分の一程度の土地とは訳が違う。

 貴族になるのは嫌だが、誰にも憚る事なく自由にできる空間は欲しかったのだ。


 

 まあ......それでも貴族になるのは嫌だがな。

 どちらが良いかと問われれば土地がなくとも貴族にならない方を選ぶ。

 

 やっすい駄賃とでも思っておいた方が精神衛生上良いのかもしれない。



 

 「ハル君?」 


 ハルトの思考に水を差すユアの声。



 「何だ?」

 「これ......移動用の車両だよね?」



 「? ......そうだが?」

 「どこに乗るのかな......って。」




 その発言にハッとするハルト。



 そういえば、確かに......これでは資源を運ぶだけの存在だ。

 職員もまとめて収容できた方が便利だな。




 そう考えながら車体をこねくり回せば、あっという間に拡張され、完成する乗車空間。


 全員用の座席とシートベルトを作成し、取り付ける。


 




 念のため一周ぐるっと周り、目立った不備がないことも確認。


 車体にかかる負荷は想定範囲内。


 トイレも設置したから最低限度の生活空間は確保出来ている。



 後はまあ......なにか不測の事態が起こったらその場で対処できるだろうし......準備はこのくらいで十分だろ。




 完成した「車のような何か」を見上げ、凝視する事数秒、くるりと踵を返し、助手たちの元へと向かうハルト。





 「作業は終了。各自業務に戻れ。暇な者は身の回りの整理でもしておけ。」

 「「「「はい!」」」」



 そして引っ越しのための準備は整ったのであった。

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