狂科学者、往診する。
ストックが切れたので緩いペースで続けていこうと思います。
「こんにちわ~。」
ハルトは現在、叔父の家の前に立っていた。
今日は義手の調子を聞きに来たのだ。ついでに義手の消耗具合も見に。
往診は大事だ。
三歳児なのでお父さんも同伴。
しばらく待って開くドア。
右手でドアを支えてレント叔父さんが顔を出す。
「やあハルト君。あと兄さんもいらっしゃい。入ってよ。」
促されて中に足を踏み入れると、結構綺麗に整頓された玄関が目に入る。
叔父さん、独り暮らしでこのレベル凄いな。
俺とは大違いだ、と一人ごちる。
リビングには革張りの立派なソファーがあり、勧められるがままに腰を落ち着ける。叔父さんも向い合わせの所に座ったので、早速切り出すハルト。
「お久し振りです。叔父さん。義手の調子はどうですか?」
少々せっかちに見えたのか、苦笑しながら、
「義手の調子は良いよ。だいぶ慣れてきたから随分動くようになった。本当にありがとう。」
見せるように右手で入れたお茶を出しす叔父。
普通の腕と遜色ないレベルの動きだ。
「レント......私はおめでとうと言えばいいのか?」
「僕はそれで良いと思うよ。この腕、前の腕よりも色々できるし。」
「しかし大分ハルトに金を払っていたみたいだが?」
ギクリ
「あ、気付いていたんだ。流石兄さん。」
「そりゃあな。ハルトが一日中ニヤニヤしていたからな。あれは資金が手に入った時の顔だ。」
「知っているでしょ? 僕の稼ぎ。あれくらい何でもないよ。ハルト君は恩人だしね。」
「そこなんだが......それ、本当に義手なのか? 確かに肌の色は少し薄いが......。」
「流石のハルト君でも腕を生やしたりなんて出来ないって。」
「いや......ハルトのことだ。腕の一本や二本は生やせてもおかしくない。」
「パパ、流石にそれは無理だよ?」
「お前自分がどれだけあり得ない物を作っていると思っているんだ? 魔力量も少し注意して見ればあり得無い量だ。私はもう何が起きても驚かん。」
「確かにハルト君の魔力、物凄いよね。どうやって増やしたの?」
剣のごり押しではなく魔道具も多用してドラゴンを倒す叔父さんも魔力量は重要な点らしい。
「......義手の手入れをしますね。」
「ははっ、そう簡単には教えてくれないか。手の内をばらさないのは大事なことだよ。」
「全く何処でそんな話術を学んできたのやら......。」
「失礼します。」
上裸になった叔父さんからボルトを外して義手の部分を外す。
そして外装を剥がせば、見える武骨なフレームと人工筋肉の束。
「確かに義手のようだな......。」
流石にバラすと面倒臭いので筋肉を軽く避けたりしながら関節などの消耗具合を鑑定する。
ほうほう、ドラゴンの軟骨は消耗なし、フレームも歪みは無いと......人工筋肉は出力向上に耐えられるようにアホみたいに丈夫だから置いておいて、他も問題ないな。
「叔父さんはもう素振り始めているんですか?」
「最近また再開したよ。」
成る程、素振りしてこの程度だったら当分は大丈夫そうだな。
「はい、大丈夫みたいです。念のため一ヶ月ぐらい空けてまた見せてください。」
外した義手を再度固定する。
往診の重要性は短い医者時代に学んだ。
時々様子を見に行かないといつの間にか壊れていたりする。機械も人間も、そんなもんだ。
叔父さんの場合一発で死亡する可能性もあるしな。
義手を噛み砕かれた瞬間にドラゴンに致死級のダメージを与えるギミックとかも考えなければ。
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