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狂科学者の空腹

 馬車に揺られて半日弱。


 少々の休憩すら挟まず、強行軍でメルガルト領まで帰還したハルトとユア。

 人外の体力を誇る二名は三時間も寝れば十分な上、御者は精神体となった三番が行っているため休む必要がなかったのだ。



 そうして帰還したハルトはユアを伴い、研究所へ直行する。

 三番も魔力を充填するべく壁の穴に端子を突き刺す。




 「お世話になります、ハル君。」

 「遠慮するな。明後日には出るが、それまで好きにしていろ。」

 「うん! ......お風呂借りるね?」

 「ああ。」


 

 そしてユアは汗を流したいのか研究所に備え付けられた風呂へと向かう。

 これから二日、ハルトが王都へ戻るまでの間、ユアはここに居ることになっている。



 理由としては......保安上の理由だ。

 公爵家の警備がざるとか無能とか言うわけではないが、単純に俺の研究所の方が安全だというそれだけだ。あの娘馬鹿な公爵は現在公爵位授与のための準備で王城に泊まり込んでいる。

 その間、守ってくれと頼まれたのだ。



 まあ、既にミサイルの数十発程度楽勝で殴り返せる程に成長したユアに危険なんぞないとは思うが......別に居る分には迷惑ではないし、不都合はない。


 

 この研究所は強固だ。

 石造りの平屋を装った要塞と言っても差し支えない。



 周囲を常に監視し、

 侵入者が居れば、警告の後罠が発動し、気絶したお客さん共を地下の実験体保管所へボッシュート。

 危険な奴がいれば高出力レーザーで手足を焼き切り、達磨へと変える。

 この世界で知られている大抵の攻撃魔法は瞬時に無効化し、爆弾や毒物など危険物のポイ捨てに対してはエーテルキャノンで消去する。


 

 その他にも職員が恐怖を感じる、不自然に意識を失うなどの危険要素を感知すれば、ハルトの承認の下殺戮機獣(スロータービースト)が出動したりもするが、まだそこまでする奴は居ない。 



 正直ここまでする必要があったのかと聞かれると答えに困るが、作ってしまったものは仕方ない。

 


 「......さて。」


 研究所の真ん中にある部屋の扉を睨み付ければ、内蔵された魔法陣が幾重にも重なって本人の認証を行う。

 そして部屋の主であると認められたハルトは空いた扉から中へ入る。



 その前にあるのは一メートル四方の立方体の形をしたメインコンピューター。


 そこから伸びる、子供の腕よりも太いケーブルを、抱えていたバスケットボール大のDNA記録型記憶装置に接続する。


 瞬間、纏められた数百本もの回路から並列して流れ込んでくる情報の濁流。


 それらは信号を変換され、塩基配列として内部の高分子情報体へと刻まれていく。



 そのスピードは、一秒間に約百テラバイト程。

 それでも長い間蓄えられ続けてきた情報の大きさからすれば微々たるもの。

 残りを移すだけでも半日は掛かるな。





 そう思っていると突如、食事を要求してくる胃袋。


 今は......七時か、そろそろ朝飯の時間だな。






 取り敢えず飯を食うか。

 その後色々準備するとしよう。




 そして食堂へと向かうハルトであった。


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