狂科学者の遺伝子メモリ
ユアが部室から出て直ぐに、ハルトは再度手元に視線を落とす。
その手元には、液体の入ったビンが、頑丈な鋼材で網の目状に保護されている物体。
メインコンピューターのストレージ拡大のため、ハルトが検討したのはDNAストレージの開発だった。
ビンの中の液体に浮いているのは自身の遺伝子。
その情報量は細胞一つあたり約一ギガほどであり、数グラムも集めれば数ゼタバイト―――目標としていたエクサバイトの更に1000倍の容量―――に化ける。
記録システムこそ多少複雑なものとなるが、その情報密度は凄まじい。
当分不要なデータをのんびりと移していくだけで相当な余裕が出てくるはずだ。
まあ前世でもまだ研究段階であった次世代ストレージの類ではあるが、あちらが酵素でチマチマとDNAを編集していたのに対し、こちらでは魔法生物の固定によって分子の配列操作、情報の抽出を迅速に行えるため、難易度はそこまで高くない筈だ。
魔法生物は単体の場合少し不安定な部分もあるが、塩基に魔法陣を固定して分子レベルの魔道具にすれば安定するため、そこらへんも問題ない。
構成材料も死亡した被検体から腐るほど手に入るしな。
......とまあそんなことを考えながら作業経過を眺めるハルト。
外装にエンコード用の回路を組み、内部の遺伝子を複製し、塩基の種類ごとに魔法生物を割り当てられていく。
しかし......
ミスが出ないように監視しているが......眠くなるな。
今度概念をそのまま解釈できる深層学習に特化した人工知能の開発もした方が良さそうだな。
視界を流れる拡大された二重螺旋の分子、その帯に等間隔で魔法生物を配置されていく。
そして数時間後、
「つぁ〜終わった......ッ!!」
莫大な魔力を消費し、ハルトの精神力を大いに削り、一つ一つ組み上げられたそれは完成したのだった。
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