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狂科学者の秘事(3)


 被検体を発狂させた要因。


 それはただのミスであった。

 そこそこ魔力の弱い個体であることを忘れ、一般人が耐えきれる分量の魔石を埋め込んだことによる反動だ。



 それでも記録にあるような全身から血を吹き出して死ぬと言うスプラッターな事にならなかったのは何故なんだろうな。

 そこら辺はまだ良くわからん。



 人間と言う種族の特性なのか。

 はたまた魔力を回収しながら行った実験の結果なのか。



 まあ、

 何れにせよ、魔石で魔力が増えると言うことは検証できた。

 おまけに人間には変態する先がないのだろうと言う仮説も立った。


 

 十分な収穫と言えるだろう。


 これなら超回復の分譲無しで魔力を増やすことができる。

 早速助手達も施術しなければ。



 あいつらは体内のMOに魔力を結構取られているからな。

 その分増やしてやった方が良いだろう。


 MB組にもやらないとな。

 なんせ首から下は機械なのだ。

 その消費する魔力量は普通じゃない。

 これからは補給無しで活動できるようになった方が便利だろう。




 そういえば三番にもやってやらないと。




 ......いやちょっとまて。




 首が残っている段階ならまだ生身だし分かるが、既に魔法生物の集合体となったあいつはどうやったら魔力が増えるんだ?

 

 というか......そもそも魔石は何なのだ?

 試行錯誤した結果普通に加工できているが、前提として魔力は魂に付随するエネルギーの筈。

 それが何故物質界に存在しているのだ?



 まずはそこらへんを解き明かさなければいけなさそうだな。

 


 幸いなことにその環境は学園の部室にもある。

 何なら魔石と俺がいればできてしまう。



 三番の中枢は送らせるか。

 あいつは今や拳サイズのチップだしな。

 輸送する手段には事欠かない。




 取り敢えず助手達に施術はしておくか。



 

 『おい三番。』

 『所長、お久しぶりっすね。で、なんすか?』

 『MO組とMB組を全員手術室に集めろ。それが終わったらお前は支部に行け。』

 『わかったっす。』



 よし、


 まだ時間もある。


 戻る前に全員の魔力を底上げするとしよう。



 そして白衣の襟を正し、部屋を出るハルトであった。





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