狂科学者の混浴
「ふいー......。」
久しぶりの風呂はやはり気持ち良いな。
汚れや匂いが自動的に分解されるとはいえ、この血管が膨張する感覚は味わえないからな。
そんなことを考えながら腰にタオルを巻き、湯船に身を沈めるハルト。
幼馴染みと入るとはいえ、流石に隠した方が良いだろう。
たまに俺の身体データを閲覧しているらしいので今更かもしれんがな。
「......入るね?」
「おう、どうぞ。」
どうやらユアも入ってきたようだ。
......にしても、
「......隠さなくていいのか? 少々目のやり場に困るのだが。」
第二次性徴を迎えた俺には少々きついのだが。
はっきりとそう告げるハルト。
「えっ? あっ!? ん......良いよ?」
いや何が?
何が良いのだ?
訳がわからないことを呟くユアに少々眉をひそめるハルト。
......まあ良いか。
別に問題ではない。
俺が理性を失わなければ済む話だ。
性欲と言う面でも魔法生物で少々調整をすれば解決する。
余り見慣れない物ではあるが、それだけの話だ。
そう脳内で決着をつけたハルトは改めてユアに目をやる。
まだ成長段階にあるため、真ん中に寄って程良い形を保ちながらも、小さな乳房。
余りコルセットを締めないせいで自然に形成された腰。
まあまあ柔らかそうな臀部に、そこからすらりと延びる真っ白い足。
前世の中世では離れている乳房が理想とされていたらしいが......今世ではどうなんだろうな?
そこら辺の常識は未だによく知らんが。
しかし......不思議だ。
このような柔らかさしかないような肢体なのに、そこから繰り出される攻撃は岩を砕き、普通の刃物では傷一つつかない。
眼球や内蔵などの柔らかい組織も極めて頑丈であり、眼球に対物ライフルの弾が直撃したとしても砂が入った程度の苦痛すらもたらせないだろう。
相変わらず存在値と言うシステムは不思議な存在だ。
ドラゴンに適用されているシステムである以上、この世界を形作る法則の一つであることに間違いは無いのだ。
しかし、見えない。
それが他の法則とどのような因果関係を持つのか。
「ねえ......ハル君?」
「ん? 何だ?」
意識を思考から現実へ移すと、そこには少し恥じらうように頬を紅く染めて胸を腕で隠すユアが居た。
「......そんなに見られると......ちょっと恥ずかしい......。」
「それはすまなかった。」
いつの間にかそれなりの時間が過ぎていたようだ。
タオルで隠そうともせずに恥ずかしいとは不思議な話だが、恥ずかしがっているようなので視線をずらす。
「......入るね?」
「良いぞ。」
どうやら体を流し終わったらしく、湯船に入ってくるユア。
スペースを開けるべく横に少し詰めるハルト。
「......ねえハル君?」
「何だ?」
「えへへ......初めて一緒に入ったね。」
「そうだな。」
「ねえ、ハル君?」
「ん?」
「あっち向いて。」
そしてユアに言われた通りユアに背を向ける方を向くハルト。
......何がしたいんだ?
「えいっ! んふふ......ハル君の背中......。」
疑問がハルトの頭に浮かんだ瞬間、可愛らしい声と共に背中に当たる柔らかい感触と腰に回される二本の腕。
そして首筋をくすぐる金色の髪と鼻息。
「......お前も物好きだよな。」
こんな男の背中が好きだとは......不思議な奴だ。
そしてハルトの時間はされるがままに過ぎていったのであった。
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