狂科学者は幼馴染みに甘い
ユアと就寝した次の日の晩、
何処か不貞腐れたような顔をしている王女は言った。
「何でハルトさんはユアさんにだけそんなに甘いんですか!」
そんな魂からの叫びにハルトが返したのは一言。
「仁徳の差って奴だ。」
王女含め王家の連中は俺を囲いたくて躍起になっている。
その根底にあるものの大半はおそらく利益だ。
俺の技術力や知識、力等々。
それに対し、ユアが俺に対して持っているのは純粋な好意だ。
多少策を弄して俺を自分の物にしようとする節はあるが、そこら辺は王女が薬を盛ってきたりするのと同程度のことであり、十分許容範囲だ。
好意を持っている相手に近づきたい感情は理解できなくもないし、知りたいと思うことだって理解できる。
何より、気分がいい。
俺は自分で言うのもなんだが、結構自己中だ。
ユアが側に居るのは最早日常であり、そんなユアだからこそ『超回復』を獲得したときも許容した。
もし助手の誰かが獲得したのであれば、それを回収、無理であればまだ成長していない段階で処分していただろう。
弟子であり、幼馴染みであり、近い価値観を持つ存在にはいつの間にか死すら克服していそうなこの能力を渡してでも無事に生きてほしいのだ。
万に一つも有り得ないが、ユアに何か危険が迫っているなら幾つかの国を消してでも敵対者を消し炭にするだろう。
そのぐらいユアは俺にとって大切な存在となっている。
前世でボッチだったのも理由としてあるんだろう。
向こうの世界では倫理がどうのこうので俺の考え方は余り理解者を得られなかった。
そういう意味で無意識の内に飢えていたと言うのもあるんだろう。
まあ、いずれにせよ、
「お前等は俺の価値を求めているのだろう?対してユアは俺自身を求めている。俺には後者が心地好かったってことだ。」
「ハル君!」
「え?」
感極まったように抱きつくユア。
対して王女は何処か呆けている。
「ねえ、ハル君?」
「何だ?」
上目遣いでハルトに話しかけるユア。
それに柔らかい表情で返すハルト。
「......一緒に湯浴みしない?」
そう少し恥じらいながら言うユア。
ふむ......
「まあ、良いぞ。」
王女と全裸で寝たこともあるし、まあ許容範囲内だろう。
そう考え、首を縦に振るハルトであった。
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