狂科学者は毒を食らう
「さ、食事にしましょう!」
「おう......。」
相変わらずテンション高いな。
対照的にげっそりとした顔で並んだ料理を口に運ぶハルト。
「美味しいですか?」
「ああ、まあな。」
王女が話しかけてくるが、最低限の返答だけで食べ続ける。
......ん?
妙な違和感があるな。
何だ?
少し気になったので魔力を消費して魔法生物を追加し、体内の状態を精査する。
ふむ......心拍数が増加、交感神経が優位だな。
胃腸の活動が異常に緩いな。
変な物でも食わされたか?
あわてて肝臓の活動を調べてみると、硝酸と炭素、水素の化合物が代謝されている。
その分子構造は......
いやちょっと待て。
なんちゅう物を食ってんだ俺は!?
慌てて惰性で進めていた食事を止め、視界に展開された情報を落ち着いて二度見する。
そこに映る解析された分子構造は、
「アルカロイドか......これはアトロピン......マンドレイク......いや、チョウセンアサガオか?」
この濃度であれば軽い中毒症状ですむだろうが......
「? ......どうしました?」
こいつの仕業ではないのか?
演技の可能性は捨てられないが......
まあ良いか。
この食事は一応旨いしな。
先程は少々取り乱したが......普通に食お。
「いや、何でもない。」
そうして食事を再開するハルト。
念のため肝臓と腎臓の機能を強化してあるし、MOによる魔法的分解処理も並列して動作しているため、速やかに排出されるだろう。
そうしてハルトは食事を終えたのであった。
****
「一緒に湯浴みしましょう!」
「断る。」
一緒に入ろうとかお前は何歳だよ。
あ、十二歳だったか?
いや、でもギリギリアウトだな。
一応後三年で成人だろ?
それに第二次性徴も始まっているだろうに。
「......よく恥ずかしげもなく男の前で裸を晒せるな。俺はその思考に驚愕だ。」
「私はそんな淫らではありませんっ! 私の全身を見ていいのはハルトさんだけです!」
あ、そう。
「取り敢えず......俺は寝る。」
そう言って俺はすっかり慣れたソファーに突っ伏した。
付き合いきれんよ。
俺はゆっくりしたい。
俺の体から出る汚れは全て自動で分解されているし、着いた汚れもまた然り。
というわけで俺が風呂に入る必要性は基本的にないのだ。
「ふふふ......つれないハルトさんも素敵です。」
......こいつ頭大丈夫か?
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