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狂科学者は隠れない

 王女の部屋での謹慎刑という謎の刑に処せられたハルト。

 しかしその程度で縛れるような凡人ではなかった。



 「いや~心配をかけたな。この通り俺は無事だ。」

 「ハル君!」



 普段着を身に付けたハルトはぎゅう~っと抱きついてくるユアの背中をポンポンと叩く。

 といっても身代わりの端末なので不要な性器などは存在せず、服を着るといっても形式的なものだ。




 王女の部屋で起床し、現状を確認し終えたハルトは、支部に連絡を出してあるものを作成、ユアの魔力を利用して端末を作成したのだ。


 支部から運んできたのは端末作成に必要な素材を纏めて固めたものだ。

 それ単体で軽く百キロ程あるが、ユアの現在の膂力に比べれば石ころも同然。

 端末生成に必要な魔力も流石に王城からは飛ばせないのでユアに供給してもらったと言うわけだ。



 俺の精神を内包する本体は確かに一つだが、動かせる肉体は一つとは限らない。

 それが奴等の失敗だったな。

 本気で俺を拘束するのであれば、魔力を際限無く吸い出す魔道具と一緒に溶かしたカーボリウムの中へ沈めて固めたものを更に海底にでも沈めなければ意味がない。


 まあ多分それでも本気を出せば破れるだろうが。

 超回復様々である。


 「......まあそういうわけで俺の本体は囚われているわけだ。」

 「そうだったの......え......じゃあ......あ! ハル君!」

 

 「何だ?」



 事情を説明してから軽く全身を動かして関節や命令伝達の調子を確かめていると、何かに気付いたらしく話しかけてくるユア。


 「ハル君の体は殿下の部屋にあるんでしょ?」

 「そうだな。さすがの俺もまだ肉体の転移はできないからな。」



 「ハル君の貞操が危ない!」

 「そうなのか?」

 「ちょっと拐ってくる!」

 「落ち着け。後何を拐うつもりだ?」

 「いや!」

 「だだっ子か。」

 


 何やら大興奮し始めたユアを落ち着かせるハルト。

 「何で俺の貞操が危ないんだ? 一応物理結界は張ってあるぞ。」

 「......良かった......。」

 


 どうやら落ち着いた様子のユア。


 なので詳しい話を聞いてみると、

 「魔法使いの血統が重視されるぐらいはハル君も知っているよね?」

 「おう。」

 実際には魂ありきの力だし、大した関係はないと思うが。

 まだこの世界では魔力量を血で測ろうとする慣習が根強く残っている。


 「だからハル君の体が子種目当てに犯されちゃうんじゃないかって......。」


 女の子が子種とか言わない方がいいと思うんだが。

 それに、

 「別に本体の状況も把握しているぞ? 危なくなったら幾らでも対処はできる。」


 

 「そっかぁ......。」

 安心してふにゃっとした笑顔を見せるユア。

 

 「あ、でも。」

 「ん?」

 「ハル君は授業に出るの?」


 ?

 「勿論出る予定だが? じゃなければここにいる意味がないしな。それに俺がここに居ることを周知させなければ部室に行くのを見つかった瞬間大騒ぎになるだろうし。」


 この体は胸部の高圧魔力バッテリーから魔力を供給されている。

 光学迷彩などの魔力を大量消耗する魔法は極力使いたくないのだ。

 つまり普通に過ごさなければならない訳で、俺の存在はいずれバレる。

 そんな地雷を抱えて研究できるわけない。

 先に爆発させといた方がましだ。


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