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狂科学者は囚われない

 「ん......朝か。」


 朝の日光でハルトは覚醒した。



 「......俺の記憶が正しければ......ソファーの上で寝たはずなんだがな。」

 何故俺はベッドの上で起床したんだろうな?



 まあ想像は容易いが。

 横を見れば、ネグリジェに身を包み、普段編み込んでいる髪を解いて毛布を被っている王女が静かに寝ている。

 俺が寝ている間に運んだんだろうが......

 

 


 それにしても、

 「何故俺は両手両足を繋がれているんだろうな?」


 ハルトが動くたびにジャラリと音を立てる鎖四本。

 これではまるで罪人ではないか。

 

 いや......一応罪人か。

 刑の内容は頭沸いているがな。




 それに......この枷は魔力を奪って来るな。

 俺の魔法や膂力の対策か。

 まあ俺の魔力はこの程度の規模で吸い取れる量でもないし、吸い取られる以上の回復を続けているので関係ないが。


 膂力だって魔力の身体強化に依存していない純粋な筋力の為、いくら魔力を奪われようが関係無い。

 存在値が関わっている筋力を純粋な筋力と定義できるかは考察の余地があるが、現状においては関係ないな。




 さて、



 現状を確認し終えたハルトは両手足に軽く力を込め、魔力を送り込む。


 その量、一般魔法使いが保有する平均魔力量の約一万倍。

 ......現在のハルトにとっては息を吐くレベルの微々たる量でしかないが。



 それだけでピシリと音を立て、ひび割れる金属製の枷。

 中の魔法陣は過剰な魔力に耐えられず、既に至る部分が破断している。




 

 「ふう......これで少し自由になったな。」


 そしてソファーに舞い戻ったハルトは昨日のように寝転がり、目を瞑る。

 周囲に結界を展開し、干渉されない空間を確保してから、研究所王都支部の従業員に幾つか指示を出して、ユアに通信を繋げた。




 『ユア? 聞こえるか?』

 『ハル君!? ......今どこ?』

 『どこまで知っている? あと伝わっている?』

 『......私は陛下がハル君を裁判にかけたって知っているけど、皆んなはハル君が謹慎しているぐらいしか知らない。』


 成る程。

 娘の婚約相手だからなのかは知らんが、罪人というレッテルは回避できているようだ。

 問題児が謹慎している程度の認識になっていると考えて間違いないだろう。

 まあ私念に溢れた判決だったし、表に出すのも少しアレな気もするがな。



 『何があったかは後で話す。取り敢えず頼みがあるんだが......良いか?』

 『うん。』

 『朝っぱらから悪いが、お前宛に届け物が届いている筈だ。それを回収して俺の部屋に入れ。それが終わったらまた教えてくれ。』

 『わかった。』

 『じゃ、頼んだぞ。』



 そう言って通信を切るハルト。


 そのままぐだーっと数分、


 『ハル君?』

 『俺の部屋に着いたか?』

 『うん。』

 『なら、今から一個デカいファイルを送る。それをその届け物に実行しろ。』

 『わかった。』


 


 そしてまた通信を切る。 

 瞬間、

 学園のある方角に巨大な魔力が発生した。

 



 そして数十秒後、



 『出来たか?』

 『うん......え? ハル君?』


 どうやら出来たようだ。

 ユアは出来上がったものに少し驚いている模様。




 さて、



 『マスターID確認』

 『接続』




 「よ、昨日ぶりだな。」

 「ハル君!」



 そして学園へ舞い戻ったハルトであった。

 

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