狂科学者の有罪判決
「この報告書によると、被告ハルトは先日、私の娘ラファエラと婚約したにも関わらず、婚約もしていないメルガルト家の令嬢と情を交わし、あまつさえ婚約者の存在を完全に無視するという無礼極まりない行いをしたと記載されておるな。......うむ、有罪だ。完全に有罪だ。私の娘を無視している時点でこれ以上ないほど疑いようのない有罪だな。」
「いやちょっと待て!」
「よって被告ハルトはラファエラの部屋にて三ヶ月間謹慎の刑に処す。これで裁判は終了とする。衛兵! 連れて行け!」
「「ハッ!!」」
「さっさと来い!」
「俺の人権は!?」
そしてハルトは屈強な衛兵達に引き摺られて行ったのであった。
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「......茶番にも程があるだろ!」
国王め......最初に公平な裁判云々言ってたくせに思いっきり私情入れてんじゃねえよ!
略式裁判にも程があるだろ!
つか何だよ王女の部屋で謹慎の刑って!
国王も若干笑っていたし!
絶対判決に無理があると分かっているだろ!
てか何で裁判!?
いきなり呼び出されたと思ったら衛兵に囲まれて謁見の間に直行したと思ったら略式裁判。
どういうシチュエーションだよ!?
連行されて放り込まれた王女の部屋。
そこでハルトは発狂していた。
......と言っても実際に暴れてしまうと城が壊れるので、脳内に留めてはいるが。
どうしてこうなった?
クエスチョンマークがいくらあっても足りない。
訳が分からなさすぎる。
新参の公爵家が王女と婚姻を結ぶだけでも前代未聞なのにその公爵家初代かつ現当主が元平民だぞ?
おまけに王家から明らかな贔屓を受けている。
そんな地雷臭しかしない俺を王女の部屋に放り込んで......何考えてんだか。
......はあ。
一通り不満を爆発させ終えて少し落ち着くハルト。
ま、あまり状況は変わらんが。
俺は研究を続けるだけだ。
取り敢えず疲れた。
今は寝て脳を休めることにしよう。
怒涛の如く連続したイベントに疲れたハルトは、ソファーの上で意識を落としたのであった。
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