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狂科学者は癒される

薄く甘く書くのって難しい......

 国王から王女との婚約とか言う要らないものを押し付けられてしまったハルト。


 しかし、ただで起きるわけがなかった。



 


 「ハルトさん!」

 「ハル君!」


 授業前、ハルトの席に近づいてくる二人。

 しかしハルトの視界に映るのは駆け寄ってくるユアのみであった。


 「ユアか。」

 「ハル君!」

 「あの......ハルトさん?」



 無視でも何でもなく、物理的に視界に映っていない。

 

 そう、

 ハルトは己の視神経に散らばる魔法生物を調整し、王女の姿を視認できないようにしたのだ。

 王女の姿が視界に入った瞬間、無意識下でその姿を消去するように。


 ハイレベルの無視。

 それがハルトの出来る抵抗であった。

 

 普通の無視では嫌でも視界に入ってしまう。

 そして見てしまうことは意識することであり、完全に意識の外に排除するのは不可能に近い。

 ならば視界に映らなくしてしまえば良い。


 人は八割以上の感覚を視覚に頼っている。

 そこから消去するということがもたらす影響は計り知れない。

 そして無視され続ければ王女もそのうち興味を失うだろう。


 ついでに嫌われれば万々歳。

 そして無事に婚約解消し、俺はユアや助手達と自由気ままな研究生活を送るのだ。

 


 「ハル君? 殿下と婚約しちゃったの?」

 そう言いながらギリギリとハルトの肩を握り込むユアの両手。

 結構怒っているな。


 「俺は拒否したんだが......婚約させられてしまった。」

 「そうなの?」

 『口付けされてしまったからな、拒否できなくなってしまった。』

 

 誰かに聞かれてはまずいので通信で経緯を伝えるハルト。

 「え......。」

 そして固まるユア。

 そりゃそうだ。

 ユアからすれば恋人を寝取られた気分なのだろう。

 「すまない。」


 ガシッ



 謝るハルトの顔を両手で挟むユア。

 何故か視線に圧力を感じる。

 思わず気圧されてしまった。


 「ハル君。」

 「ハイ?」

 その真面目な顔に思わずカタコトで反応すると、



 

 チュッ





 そのまま流れるように二人の唇は重なった。




 目を閉じているユアとは対照的に目を見開くハルト。

 しかし拒否する様子は一切無く、完全に状況を受け入れていた。




 柔らかく、暖かい感触。


 スキンシップの多さ故に馴染みのある香りが鼻腔をくすぐる。



 そんな数十分にも感じられる一瞬の末、ハルトはそっとユアと離れた。

 先程まで荒み、ささくれ立っていた感情は収まり、穏やかな気分に満たされる。





 そしていつもの様にその滑らかな金髪を撫でながら、

 「ありがとうな。」





 何への感謝なのかは自分でも分からない。

 しかしハルトは、親愛の情を込めてそう言ったのであった。

 


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