狂科学者の信頼
「......本当に要らないのか? 私の贔屓目抜きに中々の器量良しだと思うんだが?」
「くどい。要らんと先ほどから言っているだろうが。」
国王の「私の娘と結婚しないか?」発言から俺とこの国王は同じ所を堂々巡りしていた。
どうもこの国王は俺をさらに縛りたいらしい。
これ以上縛ってどうすんだよ。
「......なぜそこまで私の娘を突っぱねる? ユーフォリア嬢は受け入れたのだろう? どうせ貴族になるのだ。今さら一人二人、関係あるまい?」
あんたの仲で俺はどうなってんだ?
色欲魔人か?
寧ろ何故そこまで執拗に勧めてくるのかが聞きたい。
そこまで言うなら言ってやろうじゃないか。
「......あんたの娘はしつこいんだよ。俺をつけてくるし、部屋の前に居座るし、美貌と器量の代わりに何か大事なもの忘れてるぞ。」
「ん? そんなことか?」
心の内を吐き出し、国王の顔を見る。
しかしその顔はどこか呆けていた。
んだと?
こっちの気も知らないで......。
「......その程度温いのではなかったのか? ユーフォリア嬢がお前にしていることに比べれば、な。」
は?
それではまるでユアが俺をストーキングしているみたいではないか。
「......どう言うことだ?」
「ん? 気付いてなかったのか? ユーフォリア嬢は毎日お前がいない時を見計らってお前のベッドに寝転がって悶えているぞ?」
え?
「......これに比べれば私の娘はまだ御淑やかな方だと思うんだが。」
は?
いやいや、
そんなことか?
「......それは仕方ないだろう? 合鍵を渡して出入りを許可しているからな、いたずらレベルの可愛いものだ。てか何故それを知っている?」
そんなことよりなぜ俺の部屋が監視されているのかと言う方が重要だ。
だってユアだし。
そう大真面目に返すハルト。
「......贔屓しすぎだろ。」
理解できないと天井を仰ぐ国王。
いやいや、これはは正当な評価だ。
ユアは別に部屋の前に張り付いて俺の外出の自由を侵害していない。
俺の部屋に入ってもその程度のことしかしない。
精々たまに俺の服が一着消えていたりするだけだ。
それも数日以内に綺麗に畳まれて戻っているしな。
その程度では俺は不快にも感じないし、日常生活にも影響はないのだ。
王女の何がダメなのか。
色々理由は挙げられるが......最も根底の理由がひとつある。
『信頼』の有無だ。
ユアがいくら俺の部屋に入り浸ろうが、俺に害のあることはしない。
この十年程の付き合いでそういう確信があるから自由にさせている。
しかし王女は違う。
一緒に何かへ取り組んだことはおろか、まともに話し合ったこともなく、性格すら把握しきれていない。
部屋に入れたら何されるかわからないのだ。
よって俺は―――
「......だ、そうだ。私の可愛いラファエラよ。諦めるか?」
ん?
突然後ろの方に大きめの声で話始める国王。
そしてそれを訝しげに見るハルト。
ガチャリ
「いいえ!」
そして王女が登場した。
話はまだまだ終わらない......
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