狂科学者は首を傾げる
「......ふむ。」
そういえば昨日はユアと添い寝したんだっけな。
目を覚まして視界に飛び込んできた情報からそう思い出すハルト。
昨日は俺の前で丸まって寝ていたのに、今は互いに向き合った状態で寝ている。
その金色に輝く髪は癖ッ毛なのか物凄く爆発しているが、まあご愛嬌だな。
そんなことを考えながら何となくユアの髪を弄っていると、
「あ......おはよう。」
「おはよう、よく眠れたか?」
「......うんっ!」
少し寝ぼけていたが、すぐに覚醒するユア。
そのまま流れるように俺に抱きついてくる。
「んふふ......ハル君の匂い......。」
そして頭をぐりぐりと擦り付け、甘えてくる。
ついでに鼻息も荒いが......気にしてはいけないような気がする。
取り敢えず、
「そろそろ立て。お前はこれから自分の部屋に戻る必要があるだろ?」
「うん。でも......」
「でも?」
「その前に一回ギュってして。」
ったく......要求が多いやつだな。
そう考えつつもしっかりユアを抱き締めるあたり、ユアには甘くなっているハルトだが、それを指摘するものは誰もいない。
そして抱き締めると、
「あ......ハル君成分が貯まってくる......。」
その謎物質はお前のエネルギーか何かか?
「もういいだろ?」
「むー......今日はこれで許してあげる。」
何を許すと言うのだ?
そして俺は何を許されたのか?
「取り敢えず部屋に戻れ。光学迷彩も忘れるなよ?」
ネグリジェで廊下を歩くなよ?
「うん!」
疑問はつきないが、取り敢えずユアを部屋に返すハルトであった。
****
「ハル君。」
「何だ?」
「えへへ、何でもない。」
「そうか。」
「ねえハル君?」
「ん?」
「呼んでみたかっただけ。」
そうか。
「......何だか今日のユア君はご機嫌だね?」
「......。」
王子も気付いたようだ。
王女はなぜか険しい目付きでユアを睨み付けているが。
今朝のあれがそんなに嬉しかったのか......?
なんかやけにご機嫌なユアに首をかしげるハルトであった。
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