狂科学者は怖がらせる
留守番を置いて部屋を脱出したハルト。
窓から飛び降り、着地直前に魔法で僅かに上へ加速して静かに着地する。
使用された魔力は少量であり、王女も気付かないだろう。
先程大量の魔力を消費して『殺戮機獣』を生成したのは目眩しも兼ねている。
流石に俺程の魔力を持った人間が動くと漏れ出た魔力だけで感づかれるからな。
勿論人並みレベルには抑え込んでいるが、それでも魔力の移動で気付かれる可能性が高い。
だから突発的に膨大な魔力を放出することで魔力を感知する感覚を麻痺させるのだ。
これで魔力の残滓も残るだろうし、十分程度は気付かないだろう。
さて、研究室にでも向かうか。
そして王女から逃げたハルトは部室へと向かうのであった。
****
ガチャリ
扉が開き、ハルトが部室に姿を現した。
壁のスイッチを入れ、室内の照明を付ける。
壁に掛かった白衣を着込み、部屋の隅にあるコンピューターに触れ、認証をして立ち上げる。
と言っても画面は付かない。
全ての情報は魔法生物を通じてハルトの視界にのみ投影されているのだ。
「ん?」
何かに気づいたハルトが腕を振り、魔力の信号を飛ばす。
そしてガチャリと言う鍵の開く音とともに研究室の扉が開く。
「ハル君!」
どうやらユアが来たようだ。
「起きたか。」
「うん。なんかおっきな魔力を感じたから起きたの。」
そうか、
もしかしてでもなく俺だろうな。
「起こそうと思ったわけではないが......悪かったな。」
「ううん。」
謝るハルトに首を横に振るユア。
「どうしたの? 実験?」
「いや、王女が部屋に入ろうとしてきたから留守番を残して逃げてきたところだ。」
「へえ......。」
事情を説明すると、ユアの口から漏れる低い声。
これは......怒っているな。
俺に接近してきた王女への警戒度を上げたな。
ま、俺には関係ないが。
「......そういえば、ハル君?」
「何だ?」
「留守番って?」
ああ、その話か。
「一寸前にお前に見せたアレだ。」
そう言って空中に『殺戮機獣』の外見を投影する。
「ハル君......。」
「悪い、忘れていた。」
ユアがプルプルし始めたので即座に消す。
そういえばユアは蜘蛛系が苦手だったな。
「......これで納得したか? たぶん部屋は大丈夫だ。」
「う、うん。」
よし、
そしてユアが納得したのを確認し、部室のコンピューターのアップグレードに取り掛かるハルトであった。
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