狂科学者は捻り出す
名字を決めると言う頭が痛くなるような案件に気付いてしまったハルトは悩んでいた。
......あまり変な名字では俺が困るだろうし、下手には付けられないのが面倒臭い。
取り敢えず要素を列挙してみるか。
いつものように寮のベッドへ横たわり、視界にメモを引っ張り出す。
そして思い付いたあれこれを記入し、眺める。
俺は......科学者だ。つまりサイエンティスト。
好きな物は......生物学。つまりバイオロジー。
後は......論理......セオリー。
ついでに女神の使徒的な役でもある......使徒は確か......アポストルだったな。天使でエンジェルも悪くない。
システム工学......サイバネティックスとかか?
こんなもんか?
適当に作るとすれば......サイバーとか色々連想できるな。
エンジェルとかアポストルは......なんか良さげだが何処に入れれば良いのかわからんな。
安直に繋げるのは愚の骨頂。
かといってごちゃ混ぜにするのもアウトだ。
適度に良さげで違和感なく名前に連なるようにする。
言うのは簡単だがこれが結構難しい。
元よりそういったことは得意ではない。
助手の名前が未だに番号呼びだったりするのもそのせいだ。
ん~?
あ゛あ゛~?
んむ~?
ぬ~......ぐぐぐぐぐぐぐ......。
え~。
奇声をあげ、唸りながらベッドの上をゴロゴロするハルト。
普段のハルトであれば思考の海に沈んでいく程悩ましい案件。
しかし、
「ああもうっ......面倒臭いっ!!」
ハルトは名付けという行為が本当に苦手だった。
「止めだやめっ!」
苦虫を一億匹ぐらい噛み潰したような凄まじい形相で、メモの最後にかかれた最終結論は、
『サイバストル』
ハルト·サイバストル
少し語感が良くない気もしなくもないが......ハルトにはこれが限界だったようだ。
異界の叡知をもたらすため、女神が遣わした使徒。
彼がどう進み、どこで終わるのか。
それは未だ分からない。
物語はまだ、始まったばかりであった。
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