狂科学者は自由が欲しい
ガチャリ
「あ゛〜」
パタリ
バタバタ
ピタッ
「......とは言ったものの......。」
寮のベッドに倒れこみ、呟くハルト。
ユアに言った通り、俺は多少妥協する事にした。
しかし......まだ諦め切れない自分がいる事も確かだ。
まだ学園に行っていなかった頃の、あの食っては研究し、眠くなったら寝ると言うパラダイスのような時間を更に削らないといけない状況は俺にとって苦痛なのだ。
取り敢えず爵位を受け取ることは仕方ないと割り切って、可能な限り仕事を省略する努力をしなければならない。
その為には......
「まず待遇について確認しなければならないな。」
アポは......まあ公爵を通じて取れるだろう。
何をするにも前提条件の確認は大事だ。
多少は譲歩するにしても変な条件に縛られることだけは避けなければならない。
そう考え、公爵に連絡を取るハルトであった。
****
「......で、メルガルト公を通じて謁見しに来た......合ってるな?」
「合っている。」
ハルトは今、国王の真正面に座っていた。
メルガルト公爵に話を持ちかけたら、丁度王城にいたらしく、すぐに代理でアポを取ってくれたのだ。
「あのな......お前の事だからすぐに会ったが、今度からはもう少し余裕を持って来てくれ。」
「善処しておこう。」
「お前......間違いなく直す気ないだろ?」
さてな?
ま、そんなことよりも
「貴族になったときに発生する義務、権利及びこちらの待遇について全て教えてもらおう。場合によっては修正を要求する。」
「一応聞いておくが......要求を断ったらどうなる?」
「さてな?」
そのまま姿を眩ますか......はたまた王家を潰す為に突撃するか......
どちらにしてもそちらのダメージは甚大だ。
そう意味ありげな笑顔を返すハルト。
「......そうか、では意見の擦り合わせを始めよう。」
その笑顔をどうとったのかは知らないが、さらりと流して本題に入る国王。
そして俺の自由度を決める戦いは、始まったのであった。
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