狂科学者は凍りつく
「......おい、こいつ等これで本当に優秀なのか?」
感情を吐き出しきったかのようにぐったりとした声でそう国王に問いかけるハルト。
「......一応国内で権威とされている人材を集めていたつもりなんだが......確かにこの状況を見ると......とてもそうとは到底思えんな。」
そしてなんとも答えづらそうにそう返す国王。
「じゃあ......。」
「しかし、これで一つ分かったことがある。」
何かを言いかけるハルトだが、そこに被せるように国王はそう言った。
「早急な教育及び研究機関の見直しが必要だ。」
そう言いきる国王。
「......つってもその肝心な教育者や研究の権威がコレなんだが?」
これじゃあ何を変えようが意味がないんじゃね?
そう親指で研究員達を指差しながら問うハルト。
「確かにそれは問題だ。......しかし当てはあるぞ?」
「何?」
じゃあなぜそいつを雇わなかった?
そう眉を顰めるハルト。
「......いや、当てができたと言うべきだな。......ハルト、私はお前がこの国の国民であったことを嬉しく思うぞ。」
そうしてハルトに気持ち悪いほど満面の笑みを浮かべる国王。
......何?
「......っ!?」
一瞬呆けたハルトは瞬時にその意味することを知り、盛大に顔を顰める。
「望みの爵位はあるか? この国に、私に仕える前提で満足するものを与えよう。」
そう、この国王は教育者の頂点にハルトという知恵者を据えようと企んでいるのだ。
その知能、知識の全てで国に貢献させるために。
そしてそれに相応しい爵位を与え、縛り付けようとしているのだ。
国王は焦っているのだろう。
俺が子供で、この国にいる間は良い。
しかしその地位は平民だ。
おまけに定住して生活する農民ではなく、商人の家。
国から国に流れるなど容易い。
そして別の国に居着いてしまえば干渉は段違いに難しくなる。
「......ユア、俺逃げて良いか?」
お前がいくら俺のことを好きでも、俺は貴族になりたく無いぞ。
そう半分真面目に聞いてくるハルトを両眼を見開いて見つめるユア。
彼女は両手を握り、何やら決意を固めた風な勢いで言った。
「陛下! 恐れながら願いを聞いていただけないでしょうか!」
「何だ? 言ってみよ。其方にはハルトから譲られた権利がある。遠慮なく言え。」
......俺を助けてくれるというのか?
僅かな希望に縋り付くようにユアを見るハルト。
「......ハル君の爵位は公爵位でお願いします!」
瞬間、ハルトは凍りついた。
「......くくっ......はっはっはっは! ......ハルトよ、お前は良い女性に出会えたようだな? ......ああ、メルガルト嬢、その願い、聞き入れよう。」
そして国王は高笑いをするのであった。
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