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狂科学者は諭す

 「神童......なぜ俺が?」


 困惑するハルト。

 助けを求めるように横を向くが、ハルト狂信者こと幼馴染みであるユアは当然といったような顔をしており、まともな説明は期待できそうにない。

 なので逆側に立つ国王へ視線を向ければ、


 「......私も深いことは知らん。ただ......こいつらはお前を神の御使い方だとか現人神だとか......魔法の申し子とか勝手に呼んでいるだけだ。」


 「は?」


 確かに女神から派遣されたとも言えなくもない誕生はしたが......神ではないし、別に俺は魔法の才能に溢れているわけではないぞ?


 女神が俺に存在値のシステムを適用しただけで、俺が使う魔法は全てそこから生まれた魔力と頑強さによるごり押しだ。

 体内のこれでもかと言うほど機能拡張を繰り返し、積層化された演算回路を動かすだけで毎時魔法使い一人分の魔力を消費している。

 詠唱速度の向上や魔法陣の多重起動、魔力の精密な操作を行う手間を省く代償として俺は常に魔力を消耗している。

 効率が悪いことこの上ない。


 それに前世の知識を少しどころかかなり持ち込んでいるしな。

 

 ......まあ、天才というのはあくまでもその世界に生きる中で他よりどれ程多くを考えられ、実行でき、正確な判断をできるかと言う客観的な評価だ。

 そこに前世で得た技能等は生まれ持った技能と言う扱いになるのだとしたら、確かに俺は神童なのかもしれんがな。


 

 それにしても......


 「意外と俺の印象、悪くない......?」

 国王の前では結構ディスった発言をしていた気がするが。



 「いや、最初の頃は毛嫌いしていると言うかそんな感じだったな。だが......お前が開発して販売している魔道具を研究する内に今の......いつの間にか......まあ、こんな感じになっていた。私も驚いている。」 



 

 ......そうか。


 まあ......実害はないし良いか。うん。


 

 「で......案内してくれないか?」

 「だ、そうだ。案内しろ。私も研究の成果と言うのをこの目で見ておきたい。」

 「はっ。それでは......こちらから。」


 国王の命令にお辞儀をして、早速案内を始める研究員。  



 そして幾つかの魔道具が置かれた台のところまで移動する。



 ......なんか見たことがあるデザインだな。



 「......これは?」

 とハルトが聞けば、


 「こちらはニコラ商会で販売されている魔道具のサンプルです。ハルト殿の魔道具は既存のものとは異なった魔法陣となっていますのでその研究を行っています。」



 思いっきり自分が手掛けた物だった。


 「とは言っても......。」

 しかしそこで言い淀む研究員。

 「何だ?」

 「......ハルト殿の魔道具に刻まれた魔法陣は視認することが難しい程小さい物から全く見えない物も多々あるため、解析は難航しています。」


 

 だろうな。


 俺が作る魔道具は大抵、超小型化した魔法陣を何百個と並列起動することで高効率の魔力変換を行っている。


 それを肉眼で視認しようとする自体が無謀だ。


  

 「......だそうだが、何か助言でもしてくれないかね?」

 

 ははぁ


 それが狙いだな?


 俺に現状を見せ、知識を引き出そうとするか。


 まあ別に大したことではないから良いが。


 そして、研究員たちに向かってハルトは、

 「お前達は何故直接認識しようとする? 小さければ大きくすれば良い。魔法を何故活用しない? それではいつまでたっても見えない物を捉えることは不可能だぞ?」

 

 

 そう言い放ったのであった。


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