狂科学者の失敗
「さて、お前等の持つ全ての情報を提供しろ。お前等だったものが俺を襲った経緯の全てをな。」
洗脳が完了した刺客達に質問を投げ掛けるハルト。
それに対し、返ってきたのは、
「俺? 僕? 私? は知らなぁい。」
「俺もぉ......アヒャアヒャアヒャッ!」
「でもぉ依頼された奴は覚えている......いますぅ。」
「なんかぁ、高貴な誰かさんん゛の使者ぁだってぇ!」
「フヒッ......フヒヒヒヒヒヒヒ......あ~すいません゛~。」
「なんか黒かったよぉ......。」
「ああいうのって執事って言うんだよねぇ......多分だけど、アハハハハハハハハハハ!」
「それ以外は忘れたぁ!」
......ダメだこりゃ。
目が逝っている上に気持ち悪いしゃべり方をする狂人の戯れ言だった。
別々の人間が話しているくせに話は通っているし、突然上がる楽しそうな笑い声が非常にうざい。
全体的に女っぽい口調になっているのは捩じ込んだ人格の影響か?
性別の認識がやられているな。
少しやり過ぎたか?
本当の廃人にしてしまったな。
しかし......成る程。
依頼主は貴族か。
数人を廃人にして手に入れた情報にしては少ないが......まあいいだろう。
精神世界で宥めながら情報を引き出すこともできなくはないだろうが......廃人と繋がるとか何が起こるか分かったものではない。
そもそも生理的にアウトだ。
今度三番......いや、適当な被検体で良いか。
待遇改善を対価にしてやれば喜んでやってくれるに違いない。
あいつをここで使い潰すのは少しもったいない気がするしな。
問題はその後だが......どう有効活用するか......。
強度の精神的拷問を受けた産業廃棄物をチラリと見やり、少し思案するハルト。
......まあ、当初の予定通りで行くか。
なんにせよ、飯でも食って気分を切り替えよう。
これ以上この場に産廃を放置して置きたくないと、従業員を呼びに部屋を出るハルトであった。
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