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狂科学者は暗殺される

 助手の「三番」の魂を生身から引き剥がして半年ほど、



 ハルトは勧誘を受けていた。


 その内容は大まかに以下の通り。



 「婿入りしない?」

 と、

 「種馬にならない?」

 

 実質前者は後者と同じだな。




 その遺伝子をよこせ。

 ま、そういう意味だろうな。

 後は......繁盛しているし、その利益か?





 因みにユアの方にはまた別の勧誘が来ている。

 そちらはというと、

 「ハルトの秘密を教えろ。」

 「仲を取り持ってくれ。」

 等々。

 公爵家令嬢なのでこちらはやや遠回しだが。




 まあ、

 ハルトは『超回復』が遺伝しないことを知っているので拒否しているが。

 ユアの方も愛する幼馴染みと誰かの仲を取り持つと言う論外な提案を承諾するわけがない。



 しかし二人の考えにお構いなく無遠慮にいろいろ手に入れようとやってくる貴族は多い。

 特に公爵家令嬢ではなく平民のハルトには遠慮の欠片も無い。



 一方で『二術院』で治療を受けたことのある貴族はほとんど来ていない。

 偶に接触してくるが、基本的にこちらに対する態度は丁寧だ。

 少なくとも強引な感じではないな。


 しかし、




 「これはないだろ......。」

 強引にも程がある。


 呆れ返った顔でそうぼやくハルト。


 現在地は王都の路地裏。

 支部の付近だな。


 

 学園とはそれなりに離れている。




 視界には誰も映っていない。

 しかし、


 「俺は文明人だ。話し合いには多少応じなくもないが......話し合いをするには持っている玩具が危な過ぎやしないか?」



 全員が短刀や細長い......針か? 恐らく投げて使うのだろうな。

 

 なぜ見えるかというと目から放射線を飛ばし、透過する様子を観測したから。

 物影に隠れている様だが、遮蔽物の素材が悪かったな。

 お陰でこちらからは丸見えだ。



 「用があるんだろ? 出て来い。」

 

 そう語気を少し強めて言えば、


 「......。」

 相変わらずだんまりのまま出てくる黒づくめで不穏な雰囲気の集団。

 黒づくめは漫画の定番だが、本当にいるとは思わなかった。



 よくここまで不審者として通報されなかったものだな。


 「用件は?」

 変なところに感心しつつも、そう問い詰めるが、



 「......シッ!」

 「おいおい、物騒だな。」

 少し濡れた黒い針が飛んでくる。

 それは俺の体表を貫き、深く突き刺さった。

 と思ったら、


 ガチッ

 と金属質な音を立てて首に切り込んでくる短刀。

 中々鋭く砥がれてる様で、こちらもあっさりと切られる。



 その後も間髪入れずに飛んできたり切りかかってくる針や短刀。

 それらはハルトの至る所を切り裂き、貫く。


 そして人類最強の肉体強度を誇るハルトは、いとも簡単に倒れた。



 そして、

 「撤収!」


 誰かが小さく号令を掛け、素早く現場を離脱しようとする黒尽くめの一団。



 だが、

 何処からともなく青白い閃光が走り、全身を硬直させ、崩れ落ちた。



 そして、





 『お゛いおぃ、も゛うぃくのか?』

 「「「「「「っ!?」」」」」」

 ラジオのノイズの様な、

 風邪をひいた時の濁声の様な、

 どこかゾッとする声が路地裏に響いたのであった。


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感想、気になった点、世間話、その他ありましたら是非書いてください。

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