狂科学者は打ち明ける
「......んあ......ハル...君?」
「俺のことは分かるか?」
「......? ハル君だよね?」
「自分の名前は?」
「ユーフォリア。」
「ここは?」
「部室?」
ユアの目が覚めたようなので早速記憶に異常がないかをチェックするハルト。
取り敢えず重要なことは大体覚えているようだ。
「ねえ......」
「ちょっと待て、まだ起きるな。」
「? うん。」
ハルトの不審な言動に疑問を覚えながらも、言われた通り起きるのを止めるユア。
「取り敢えず......身体強化せずにこの棒を握りしめてみろ。」
そして渡された棒を握りしめると......
ユアの手の中でグニャリと潰れる棒。
「やはり......。」
ユアには黙っているが......その材質は鋼鉄だ。
中空ではなく中身まで詰まっている。
当然、ただの人間の握力では潰せないどころかへし折れない代物だ。
それをユアは潰して見せた。
つまり全体的な肉体強度や筋繊維の出力も魔力とともに上昇している。
このまま起き上がられたら勢いの余り天井に突っ込んでいただろう。
止めておいて正解だったな。
「ハル君? どうしたの?」
「......ユア、可能な限り落ち着いて聞いてくれ。」
「? うん。」
そしてハルトは話始めた。
ユアの体に起きた異変と、その理由。
ハルトの抱える秘密、その全てを。
****
「......とまあこんな感じで俺はこの世に生まれた訳だ。この研究部は俺が前世で科学者と言う仕事をしていたからその延長線上で作った。ここまでは良いか?」
取り敢えず前世について語ったハルトはそこで話を区切った。
「えっと......ハル君は前世の記憶があって、『地球』っていう魔力のない世界で錬金術師みたいな仕事をしていた......ってこと?」
結構理解できている模様。
流石は俺の生徒だ。
「そうだ。で、死因は薬物の過剰摂取か頭をぶつけたのどちらかだったはずだ。」
「......何でそんな死に方になったの?」
「徹夜のしすぎでな......色々無理が来ていたんだろう。」
最近では死んだときの記憶が曖昧だ。
「で、女神に会ってとにかく頑丈な体である程度の立場の子供に転生させてもらった。」
「頑丈? 確かにハル君ってとっても強いよね。」
「正確に言うとな、ただ強いわけではない。俺の能力『超回復』の効果で環境に適応しているだけだ。」
「適応?」
「そう、魔力を際限なく搾り取り、その分全身の運動に対して負荷をかけるという環境に適応した結果だ。で、ここからが本題だ。」
ハルトは一息つき、また口を開く。
「今......ユア、お前の魂というべきものは俺の魂が混ざっている状態だ。」
そして打ち明けたのだった。
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