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狂科学者の優しさ?


 「......本当?」

 「勿論だ。身分差という障害は多少あるがな。」


 やや上目遣い気味に顔を覗いてくるユアへそう答えるハルト。


 まあ......『二術院』の創設者である俺とは身分差もあってない気がするが。

 一応こいつ、公爵令嬢だし。


 「それに、俺の圧に慣れている方が色々と気が楽だしな。」

 ふとした拍子にトラウマを植え付けずに済むし。

 ......ただ、



 「悪いが、貴族になるのは御免だな。」


 その鋭い言葉にどんどん泣きそうになっていくユアの表情。

 理解はできる。

 ユアは貴族の人間だしな。

 一人娘だし、公爵家の存続がかかっている。


 「な......ん......で?」

 泣きそうになる声を抑え、ハルトにそう問うユア。


 「俺は可能な限り縛られたくない。貴族にはそれなりに義務も多いんだろ? 領地の支配、国王への忠誠、貴族同士の付き合い......何より国家の枠から逃れられん。それでは自由な研究ができないだろう。」


 

 そう、どうせあの国王のことだ。

 俺が貴族社会の一員になった瞬間喜々として何らかの研究機関に捩じ込むだろう。


 それだけは勘弁だ。


 だから俺は縛りの少ない平民か、最高位でなければならない。

 一番上になれば誰も縛ろうとはしないしな。

 かといってそこまで行くのは面倒くさい。

 じゃあ平民でも問題ないだろうというわけだ。


 「ま、俺達が大人になるまでまだ時間はある。それまでにゆっくり考えれば良い。」

 「......うん。」

 

 ......すっかり元気を失ってしまったか。

 少し気まずくなったハルトは、


 「......何がそんなに悲しい?」


 そう聞いてみると、



 「ハル君が......私の物にならないこと。このままだと......私がハル君から......離れていっちゃいそう......で、怖いの。」

 

 ふむ。

 その独占欲はどうかと思うが......そうか......



 そしてハルトは何度か頭を振り、


 「わかった。お前が悲しむのはあまり見たくないからな。......俺も少し真面目に考えてみることにしよう。」


 お前が俺の近くにいられるようにな。


 ユアにそう言ったのであった。



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