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狂科学者の発見

 「良し、それじゃあ俺と繋がってみろ。」

 「ハル君と......うんっ。」


 ユアに魔法生物を投与し、操作や活用法の説明をした後、早速試したいことを試すハルト。

 そして少々頬を紅潮させるユア。


 今までは誰かと通信するとき、端末の演算で作られた仮想空間を通して通信していたが、人間同士で脳を直接接続したことはなかった。


 聴覚と発声のための神経を接続し、各種部位を接続する。

 俺の想像をユアへ、ユアの想像を俺へ流す道を作る。

 

 人間というのは脳によって周囲を認識している。

 外の世界は全て、各種感覚器官が捉えた情報にオリジナルの変換を行い、形作られているのだ。


 だから人は完全にわかりあうことはできない。

 育った環境、経験によって育てられた固有の脳はあらゆることに固有の価値観を持ち、それで世界を認識するからだ。

 誰かにとっての『世界』は他の人にとっての『世界』になり得ない。

 

 つまり、


 俺達は己の脳内に、固有の『世界』を持っている。

 形作られた趣味、嗜好に沿って存在する『世界』を。


 誰かが死ねばその誰かの『世界』は消え、誰かが生まれることでまた現れる。


 そんな俺達の持つ、『固有世界』とも言うべき価値観同士を接続しようというのが今回の試みだ。

 演算に沿った世界ではなく、論理を超越した人の混沌とした『世界』を接続する。

 

 「『接続』」


 瞬間、俺の中に流れ込んでくる何か。


 二人の思考が混じりあい、反発し、そして緩やかに同調していく。


 「あうっ......くっ。」

 「こいつは......きついな。」


 そんな発言の情報すら流れていく。

 脳が焼き切れそうだ。

 治癒魔法で神経を保護しておかなかったらやばかったな。


 そして数分後、



 『何だ? ......落ち着いたか。』

 突如消え去った苦痛に安心するハルト。

 その視界は既に外界からは切り離され、今見えるのは部室ではなく俺の研究所。

 俺とユア両方に馴染みのある場所だからか?


 細部は異なるが、まあ問題ないか。


 『ハル君!』


 そして向こうで手を振っているユア......のような姿をしたユアが突進してきた。

 

 『ハル君大好きっ!』

 ん?

 そして捕獲されるハルト。

 

 『あは......ハル君の匂い......。』


 誰だこいつ?

 そんな感じに戸惑っているハルトに構わず、ハルトの全身を味わうかのように擦り付くユア。


 『お前......ユアだよな?』

 『うんっ。ハル君のお嫁さんだよっ。』


 はあ......成る程。


 『つまり......ユーフォリア·メルガルト公爵令嬢は平民のハルトを異性として好きだと?』

 『うん!』


 はいはい。

 理解したぞ。


 ユアは俺が好きだが、今まで言えずにいたと。

 だがこの世界は精神世界だ。

 己の精神が丸裸になるこの場所で、隠すことができなくなり、感情が表に出た......といった感じか。


 そう考えるとユアの変な行動が全て説明つく。

 要は俺へのアピールだったと。


 『ユア、今も魔法生物の視界は生きているよな?』

 『うん!』

 『じゃあ今の俺の姿を記録しておけ。少し気になることがある。』

 『わかった!』

 

 さて、こいつの目には俺がどのように映っているのやら。


 見ものだな。

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