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狂科学者、兵糧攻めをする。
腕を動かす感覚で動き、動作の感覚が帰ってくる高性能な義手。
......と言っても何度か感覚器を刺激したり筋肉から魔力を逆流させたりして信号経路を構築するまではほとんど動かない。そもそも感覚信号を感覚として感じられない可能性もある。もっと言えば使用者が猛特訓しないと操れない。
なので、
「おはよう、モルデモート一世。」
目を覚ましたが体を拘束されて動けないモルデモート一世に声をかけながら、インターフェイスとなるバックパックの魔力基板と義手の魔力基板を接続する。
そして適度な距離に義手を固定してその指先にエサの入った皿を置く。どちらもモルデモート一世が見えるように気を付けた配置だ。
勘のいい奴なら俺がやろうとしていることが分かるはず。
そう。
義手を動かせるようにならないと食欲が満たせない状況を作るのだ。
つまり兵糧攻め。
安心して?
死にそうになるまでやめないし、手助けはするから。
その日からモルデモート一世の地獄の日々は始まった。




