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狂科学者の戦い方(3)


 「......どう言うことだ? 『魔法殺し』は魔法を無効化できるのではなかったのか?」

 眼下で連発される非常識に、そう思わず呟くウェルマニア国王。


 「あり得ません......あのハルトという生徒......体内で......そんなことが?」

 「どうした?」


 異常に混乱している様子の臣下に問いかけると、


 「......あの者は......体内で宙に浮かんでいる魔法陣以上の魔法陣を同時展開しております。私の視える『流れ』故、間違いはございません。そして......」

 「......何だ?」


 「あの者の中にも、視えない魔力がございます。彼の国の『魔法殺し』を掴んだ瞬間に......発生しました。」

 「発生しただと?」

 「はい、発生しました。」


 「そうか......これから見た全てを考察した上で報告しろ。」

 「仰せのままに。」



 ****



 「......さて、まだまだ降参してくれるなよ?」


 目の前のハインツにそう話しかけるハルト。


 『23番ファイル反転、展開数15、発射』


 そして立ち上がったハインツに殺到する虚数属性を付与された雷の槍。

 非致死性の電圧だが、筋肉を痙攣させるぐらいはする。

 現に立ち上がったばかりのハインツは全身が痙攣し、今にも倒れそうだ。

 それでも倒れないのは身体強化の効果なのだろう。


 「......くっ。」


 ハルトが様子を見ていると、何やらブツブツ詠唱を始めるハインツ。


 瞬間、ハインツの姿が消えた。


 「ほう」


 移動時の衝撃波が見られないため、高速移動ではないな。

 つまり空間系統か単純な光学系の魔法なのだろう。


 まあ、確認自体は非常に単純だ。


 『魔力虚数変換、放射』


 ハインツは虚数の魔力で行使している。

 なら虚数の魔力で効果を変質、物理現実に引き摺り込んでしまえば無効化できる。


 瞬間、

 体内の魔法生物が全力でハルトの膨大な魔力を虚数属性に変換、放射する。

 急速に結界内が虚の魔力で満たされていく。



 そして......


 「!? ......くそっ」


 ハルトの前方数メートルに現れるハインツ。

 魔力の動きを見る限り、体表に纏わせた魔力で視覚に移る全身からの反射を文字通り『虚数』の世界に落とし込むことで、反対側へ素通りさせていた様だ。

 要は光学迷彩だな。

 それで俺を奇襲しようとしたと。


 

 しかし......その一連の動作を処理するのは明らかに人間業ではない。

 おそらく『超回復』の回復機能のように自動的な処理が行われているのだろう。


 思わぬ応用の発見に口元を緩めるハルト。

 そこには明確な油断があった。

 そしてそれを見逃すことなく、全力を賭して振るわれる渾身の一撃。


 勝利を確信したのか僅かに和らぐ表情。



 だが、

 ガチンッという硬質な音が周囲に響いた。


 「ん? あ、もしかしてもう無いのか?」

 何だ......まだ何か隠し札でもあるのかと勘繰ってしまったじゃないか。

 楽しみにして損した。


 そう考えて失望した顔をするハルトの頭に当たる模擬戦用の剣。

 連続して起こる非現実的な現象にパニックを起こしたのか、狂ったようにぶつけられる鉄塊。


 しかし、それらは全て、ハルトの髪の毛一本すら切ることを許されず、弾かれる。


 そして、


 「ま、もう良いか。」

 そして何気なく鷲掴みにされる剣の持ち手と、ハインツの腕。


 「なっ!? ぐっ!?」


 ヒョイと言った軽い感じで持ち上げられ、




 「そんじゃっ」

 これまた軽い動作で投げられるハインツ。



 ベシィっと地に叩きつけられるハインツの横に追従する様に詰め寄り、首元に剣を下ろすハルト。

 これで決着はついたよな? と審判の方を見れば、




 「......勝者、ハルト!」


 という審判の宣言と共に、試合は幕を閉じた。


 

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