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狂科学者式魔法訓練(7)


 『手加減するんでかかって来るっす!!』

 「ほれ、行け。試合で向こうが魔法しか使えないとは限らないからな。」


 「えいっ。」

 「はあっ!」


 剣同士がぶつかり合い、発生する音が空気を振るわせる。


 三番の顔は見えないが、余裕そうに左右から飛んでくる剣を捌き、反らし、流す。

 王子やユアもこれまでの授業で学んだ技術を使い、全力で剣を振るうが......届かない。


 まあ授業ではここまで本気の模擬戦闘をしないからな。

 授業でやるのは素振りや軽い打ち合い程度。そこで相手を殺すほどの勢いはまず出さないし、危険だからな。

 しかし今は状況が違う。

 MBの技術を使い、戦闘用に出力調整され、全身をカーボリウムの装甲で被われた戦闘用人型端末。

 それは重量も、敏捷さも、耐久性も人とは比べ物にならないほど高い。

 そしてそれを操っているのは過去に連続殺人犯として剣に長けた騎士達を相手に何度も逃げ延び、時には切り伏せたほどの剣豪。

 高水準の技術と高い耐久性、さらには人外の身体能力まであれば二人の剣を捌く程度、容易い。


 そしてユア達も遠慮なく打ち込めるため、実力も十二分に発揮できる。

 実力を超えて初めて技術と言うのは成長する。

 そのためにはこの状況は最適だ。

 

 だが......


 「おい、お前等、魔力も使え。」

 「いいのっ......かいっ?」

 「いい......のっ?」

 剣を振りながら聞き返してくる二人に俺は許可した。


 「身体強化も攻撃魔法の使用も許可する。そいつが大破する勢いで何でも使え。互いだけは巻き込まんようにな。」


 そういった瞬間二人とも魔力を全身に巡らせ、攻撃魔法の詠唱も始める。


 剣の威力が目に見えるほどまで上がり、小さな魔法が飛び交う。

 最初の二日で追い込んで正解だったようだ。

 二人とも詠唱の構築に無駄が減り、不要な身体機能へ割かれていた無駄な魔力も消えている。


 だが、まだ足りない。


 『まだまだっす!』

 その程度の攻撃、無に等しいと言わんばかりに全て剣で対応する三番。

 剣に仕込まれた結界をうまく使って攻撃魔法を打ち消しているようだ。

 


 ......そろそろ頃合いか。

 「はい、止め。」


 「はあっはあっ......え?」

 「はっはっ......終わった......。」


 二人とも疲労困憊のようなので、ここで休憩を挟むとしよう。

 取り敢えず、

 「怪我はあるか?」

 「ううん。」

 「......今のところは。」


 それは重畳。

 取り敢えず治癒魔法で筋肉を超回復させるとしよう。

 治癒魔法の陣を少々弄り、回復過程で筋繊維の成長と適正化を促す。


 ついでに神経の成長も促進し、剣を用いた戦闘の経験を馴染ませる。


 こうすることで二人の体を物理的な戦闘に慣れさせるのだ。

 本番では何が起きるかわからない。

 万一魔力が切れたとき、残るのは己の剣技とそれを行使する肉体のみだからな。

 魔法と同時に鍛えておけば多少は使い物になるだろう。

 今回は三対三の勝ち抜き戦なので、俺が回ってきた時点で全滅させれば勝てるが......それでは二人が参加する意味がなくなってしまうしな。

 できる限り勝って貰いたいものだ。

 

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