狂科学者式魔法訓練(3)
「......よし、今日はこれで終わりだ。」
ひたすら魔法陣を書かせて俺が検証、答え合わせをし、改善案を提示するという一連の行程を数百回は繰り返しただろうか?
日が暮れてきたのでハルトは練習を切り上げさせた。
「明日は......そうだな。詠唱の練習だ。喉が乾くだろうし、十分な量の水を持ってこい。」
「うんっ!」
「これが後一ヶ月......立場上試合に出なくてはいけないとはいえ、なかなか辛いねぇ......」
同じ授業を受けていてもこのテンションの差。
どうやらユアは魔法に対する好奇心が強いらしい。
好奇心。
それは努力に勝る才能だ。
好奇心があるからこそ人は者を覚えられる。
いくら努力しても忘れていく物があるなかで、好奇心を持って覚えた事項は数十年に渡って保存される。
例えば好きなMMORPGのマップや多種多様な攻撃のコマンド、アイテム名を一度で覚えられるなど、記憶速度も努力に勝る。
好奇心が人の本質と言っても良いかもしれない。
なぜ? どうして?
これらの欲求が人を刺激し、あらゆることを解明、応用させてきた。
努力家を否定するわけではないが、好奇心と言うのはそれほどの力を持つ。
ユアは魔力も多い。
順当に増加していった結果、常人の十数倍はある。
このまま成長すればいずれ数十年に一度の魔法使いになるだろう。
いや、魔科学を若干とはいえ応用しているし、別の呼び名が相応しいかもしれんが。
これからの成長が楽しみなものだ。
あの王子は......努力家なんだろうが、少々魔力に恵まれなかったようだ。
常人の七倍ほどで成長が止まっている。
魔力不足を補う手段も今度考えてみるか。
家庭教師の教え方が悪かったのかもしれんが、今一つ思考の柔軟性にも欠ける。
今のこいつは問いの解法を全てごり押しで暗記しようとしている。
使っている内にそんなもん考えずに出来るようになるんだがな。
まあ、その程度なら矯正すれば改善はできるだろう。
さて、俺も部屋に帰るか。
こうして一日目は過ぎたのであった。
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