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狂科学者は期待の問題児


 目の前の学園長室からドアを突き破らんばかりの勢いで飛び出してきたのは、


 「......幼女?」


 そう、幼女であった。

 顔は先日見た学園長のそれだが。

 「誰が幼女じゃっ! わしはどっからどう見てもレディじゃ!」


 「おい虫、こいつだれ? 学園長の孫?」

 「虫って......いや、この方がこの学園の学園長だよ。ていうか顔知らなかったのかい?」



 嘘だろ!?

 この幼女が!?


 いや、確かに保有魔力量は目を見張るものがあるが......これが?

 この身長百五十センチあるかないかの寸胴体型の幼女が?


 「ちなみに年齢は?」

 「今年で四十歳っあがっ!?」

 飛んできた拳に吹き飛ばされる王子。

 身体強化系の魔法陣か。

 どうやら触れてはいけないことを口にしてしまったらしい。

 それにしても......これで高齢なのか。

 前回は座っていたし少し背が低い程度にしか認識していなかったが......

 なんかの病気、あるいは遺伝子疾患か? 


 「おい貴様、いくら王子とはいえ許さんぞ?」

 「おい年齢詐称ババア。」


 ガインッ

 人なら間違いなくミンチになるであろう速度の拳が激突し、発生する金属音。

 それは明らかに人を殴った音ではなかった。


 「少し頭を冷やしたらどうだ? この年齢詐称ババア。」

 「っ貴様......今何をした?」

 「何も? ただ顔で受け止めただけだ。少々丈夫さには自信があるのでな。」

 何せドラゴン数千体分の存在値だ。

 その強度はドラゴンの鱗をも軽く上回る。

 その七割弱の威圧に耐えられるユアは流石に想定外だったが。


 「やはり貴様があの、『問題児』ハルトだったか......。成る程。レントの話は本当だったと言うことじゃな。」


 問題児ねぇ......それよりも、

 「叔父を知っているのか?」

 「あの家系で何がどうなったら貴様のような無礼者が生まれるのか不思議だが......奴とは五年前にハンターでパーティーを組んでいたんじゃよ。」

 どうじゃ、敬う気になったかとばかりに無い胸を張る学園長。

 

 あ、そう。

 ......ん?

 男女でパーティーを組んでいた?

 成る程成る程。

 「てことはあんたはこれから叔母になるのか。叔父のことは頼んだ。」

 そういうことか。

 ならば敬うのも吝かではない。

 「? ち、ちがうわっ! あ奴とは友人......そう! 友人なのじゃ!(あの鈍感め......。)」

 「本当にそうなのか?」

 恋愛には多少疎いが......顔面が赤くなっているし、普通に片想いをしているようにしか見えないぞ?

 

 「そ、そうじゃ。ん......ん゛んっ。で、本題じゃ。ハルト、今日から試合までの期間は全て授業を免除、訓練場も一つ貸し切ってやるから、そこの二人を鍛え上げるんじゃ。」

 

 ま、元よりそのつもりだ。

 試合でわざわざ負けるのも癪だしな。

 

 「良いだろう。それ以外になにか?」

 「ルールなどの必要事項は全てこの紙に書いてある。後で三人で読め。以上じゃ。」


 

 では帰ろう。

 その前に、

 「虫、生きてるか?」

 先程の一撃から回復しきっていない王子を回収しなくては。


 「い、いや......死にそう。げほっ」

 む、吐血しているな。

 あの年齢詐称ババア、間違いなく手加減を知らんだろ。

 レント叔父さんには注意しておこう。

 あなたは年齢詐称瞬間湯沸かし怪力ゴリラに片想いされていますよってな。


 魔法生物を通して軽い診察をし、診察結果から最適な治癒魔法をかける。

 少し内蔵にダメージが入っていたようだ。

 「ほら、もう立てるだろ。」


 「え? ......はははっ。君は本当にデタラメだね。」

 「ハル君、早く帰ろ?」

 「ああ、明日は訓練だ。魔法も少し教えてやる。今日はしっかり寝とけ。」

 「うんっ!」


 そしてハルト達は食事を取ってから明日に備えて寝るのであった。  

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