狂科学者は拒否権なし
「さて、今日の授業に入る前にひとつお知らせがあります。」
さあ授業だ、と皆が思っていたところだが、お知らせがあるらしい。
「皆さんも楽しみになっているんじゃないでしょうか? 今年も魔法と武術を用いた、二国間交流試合があります。そして皆さんも二年生、参加資格があると同時にこのファーストクラスからは選手を三人出すことになっていますので、今日はまずそっちを決めましょう。」
ん? 交流試合だと?
ああ......そんなものがあったな。
この国、ウェルマニア王国は隣国のエルドルリア王国と交流があり、毎年双方の国が運営する王立魔法学園から選手を出し、交流試合をするというイベントがあるのだ。
去年は関係なかったので特に観に行くということもなく引きこもって研究をしていたが......。
「そして決定事項なのですが、ハルト君。」
どうやら今年からはそういうわけにもいかないらしい。
「慎んで辞退させていただきます。」
「まだ何も言っていないんですが......国王陛下の命令です。拒否は受け付けません。」
先生の台詞に割り込んだが、手遅れだったようだ。
あの国王、この程度予測済みか。
「先生個人としてもハルト君が出れば二年の優勝は約束されたようなものなので受け付けるわけにはいきません。」
畜生、あんたもグルか!
と内心で悪態をつくハルト。
「さて、ハルト君以外に残り二人出ることができます。出たい人は居ませんか?」
「はい。」
「はい。」
速攻で手を上げる見知った顔の二名。
ユアとアレク第一王子。
王子は立場的に分からんでもないが......なぜユアが?
「殿下とユアさんですか......」
「ちょっといいか?」
「はい、ハルト君。辞退以外でお願いします。」
「今回の試合は模擬戦闘と聞いたが、何処まで許可される?」
「何をですか?」
「防御や攻撃用魔道具、武器の使用についてだ。」
「魔道具の使用は基本的に禁止されていますが、剣などは使用可能です。」
成る程。正真正銘の実力勝負だと。
なら大丈夫か。
「......何か反対意見がある人は居ませんか? ......いないようですね。殿下達は今日の授業が終わり次第、学園長室に行ってください。では授業を始めましょう。」
こうしてハルトの試合出場は決定した。
本人の意思を完全に無視されて。
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