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狂科学者の叔父さんは超リッチ

 「はあ......何で王女なんて危険な劇薬拾ってしまったんだか......」

 公爵家の立派なソファーに沈みながらそう愚痴るハルト。

 「王族を危険物とはお主らしいな。」

 「国王が来るせいで俺は研究所を片付けなくてはならない。それだけで有罪だ。」


 「......まさか愚痴を言いに我が公爵家へ突撃したわけでもあるまいな?」

 「まあ愚痴も要件の一部だな。」

 「おい。」

 「ま、良いだろ? 他でもない俺のお陰で書類決済の手間が削減されたんだ。紙代だって削減されただろ?」

 「む......悔しいがお主の作る商品は優秀だからな。」


 そうだろうそうだろう。

 従来の魔道具にはない論理演算型魔道具と情報記録魔道具。

 要はコンピューターとプリンターだ。

 それを提供して領内の統治が捗らなかったら嘘だ。

 

 何せ計算を瞬時にノーミスで行えるのだからな。

 帳簿の数字を打ち込めばどこが不自然で横領されているかも丸わかり。


 「ま、そんなことはどうでも良い。要件は......新技術が開発されたから使ってみないかってことだ。」

 

 それだけでは理解できなかったのか、訝しげな顔をする公爵。

 「まあ簡単に言えばそのマジックサイトの上位互換、それを提供しようってことだ。」



 「......お主、よくそんなポンポンと新しいものを作り出せるな......。一応解説ぐらいはしてくれ。」

 

 りょーかい。

 「今説明用のテキストを送った。見れるだろ?」

 「おお、これだな? ふむ......。」


 マジックサイトをかけて公爵が黙ってしまったので身代わり人形に意識を送って研究所の片付けの手伝いをするハルト。




 「......ふう。」

 「読み終わったか?」

 「お主......。」

 「ん?」

 心なしか公爵の体が震えているような......。


 「とうとう人の心にまで手を出し始めたか......。」

 「いやまだ心には干渉できない。あくまでも心......というか意識で情報を変換しているだけだ。」

 「何が違うのかはわからんが......安全性は?」

 「現在俺の研究所にいる助手と俺自身、父さんと母さんにはすでに施術済みだ。全員元気に生きている。」


 「親の体にまで手を出すとはの......お主は恐ろしい奴だな?」

 「なんとでも言え。俺の好奇心は止められない。で、返答は? なに、心配するな。少し耳と胸に金属がはまって脳に魔法を入れるだけだ。」


 「その言動からは不安しか感じないが......見たところ恐ろしく便利なのは自明。やってくれ。」

 まいどありー。



 「......ところでいくら払えば良い? 流石に貰ってばっかりもな......。」

 「ん? 別に要らん。強いて言えばあんたが着けてくれるその事実が欲しいだけだ。」

 「お主......もう少し利益に貪欲にならねば商会長なんぞなれんと思うぞ?」

 

 そうなのか、ふむ......

 「じゃあ一千万レアで。」

 「すまん、そこまでの額はポンと出せん。」


 意外だな。

 叔父さんは義手にポンと数千万レア出したぞ?

 もしかして叔父さんって公爵を凌ぐほどの超金持ち?

 


 意外な事実に驚くハルトであった。

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