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狂科学者は帰りたい

 

 「ハル君、おはようっ!」

 「おう。久しぶりだな。」

 相変わらず元気な声のユア。


 うっかりお前の存在を忘れるところだったぞ。

 それほど研究が充実していたと言うことだから良いけどな。


 「今日はどうした?」

 「えっと......お父さんが戻っているなら公爵家にも顔を出してほしいって。」

 「成る程。」

 

 ま、丁度手が空いているし顔は出しておくか。



 「今から行っても問題ないか?」

 「うん。」

 そしてハルトは歩きだした。



 ****


 「久しぶりだなメルガルト公爵。元気そうで何よりだ。」

 「お主もな。......ところで、一つ悪い報せがあるんだが......。」


 悪い報せ? 

 「帰っていいか?」

 「......お主、面倒臭いからって何もかも無視しようとするのは良くないぞ?」

 「バレたか。」

 「それを自分で言っては意味がないだろうに......実はな、国王がお前の所の二コラ商会に目を付けたらしくて、お前の父アランへ書状を持たせた使者を出したという報せがあった。」


 「......なに?」

 国王が俺に興味を持つなんて珍しい......



 ―――また会おう―――



 脳裏によぎる声にはっとするハルト。

 いかんいかん、研究が楽しすぎて忘れていた。



 あの言動からして父さんじゃなくて俺に用があるのはまず間違いない。

 



 どうしたもんか......



 猛烈にお引き取り願いたい。

 面倒事の臭いがプンプンする。

 

 偉い奴の向く先に面倒事在り。

 世界の真理だな。



 これは全力で欠席したいところだ。

 父さんは別に俺のことをそこまで深く知らないし、変な状況にはなりにくい。

 そっちに内容は丸投げするとして......言い訳はどうしようか。


 お腹が痛い。

 それは授業を欠席するためのセリフだ。よって不適。


 逃走する。

 国王の権力はそれなりのものだ。逃げきれる確率は低いため不適。


 姿を消す魔道具を開発して隠れる。

 魔法使いに魔力でばれる。よって不適。

 

 身代わりを作って遠隔で操作する。

 ......ある程度妥協する必要があるが悪くない。これは保留。


 「因みに送られたのはどういう書状だ?」

 「まだ知らんが、あくまで推測だが......まずはハルト、お主の勧誘と......まさか。」

 突然額に汗を浮かべながら狼狽え出す公爵。


 「ん?」

 どうした?

 「お主......陛下へ謁見する前に令嬢達の苛めに出くわさなかったかの?」

 「ああ......出くわしたな。」

 そういえばそんなこともあったな。

 


 「苛められていた令嬢の髪はエメラルドグリーンで瞳は蒼だったか?」

 

 ん?

 そんな事いちいち覚えているわけないんだが......確かあの時はマジックサイトを付けていたはず......。


 急いでメインコンピューターのメモリを漁り、その時の風景データを探すハルト。


 「お、これか?」

 そういって宙に該当する人物の顔を幻影魔法で映し出す。

 ふむ、確かに髪と瞳の色は条件と合致するな。

 それを見た公爵はというと、



 目を見開き、固まって映し出された顔を凝視していた。

 「この令嬢がどうかしたのか?」

 「ハルト......お主。」

 「ん?」






 「わしの予想ではお主、これから忙しくなるぞ。」


 「は?」

 「まさか陛下のおっしゃっていたのがお前だとは思わなかった。」

 「どういう......」

 「まさか王女様までお主を気に入るとはのう......。」

  

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