狂科学者のアバター作り
「もう一つ体が欲しい。」
研究をしていて毎回思うのだが......どうも手が足りない。
助手たちも頑張ってくれているが......やはり意のままにと言うわけにもいかないしな。
技術が足りないので今までは妥協してきたが......今の俺に妥協の二文字は存在しない。
脳を改良したお陰でリアルタイムで外部装置を制御できるようになった今、アバター作りなど容易いのだ。
肉体には実験機を改良したものを使用して、頭部には最低限の魔法生物を維持する容器を搭載。
義眼や各種感覚、運動用の人工神経と接続させ、義眼の受容データは直接眼球内へ投影させるようにする。
胴体の空洞にはこれでもかというほど高圧魔力バッテリーを搭載、外装を人間らしく整える。
これで俺の代わりに手足が動き、俺と視界を共有する人形の出来上がりだ。
ベッドに横たわり目を閉じて向こう側と接続すれば視界にはアバターの視界が映る。
生身の末梢神経との接続を妨害することで脊髄の情報は全てアバターに流れ、感覚情報が返ってくる。
そして俺は少しバランスが怪しいが、立ち上がった。
ふむ、おおよそ俺の前世の肉体に合わせたつもりだったが......思ったよりも忘れていたようだ。
顔も前世の俺に近づけている。
義眼の調子は良好、人工神経の感度もよし。
そのままゆっくり部屋の中を歩き始めた。
今までこれに繋がれてきた奴等にもこの景色が見えていたのだろうか?
思ったよりも現実と変わらない感覚。
意識せずとも持ち上がる人工の手を凝視する。
呼吸機能は無いため、深呼吸はできない。
鼓動も存在しないが、まあ支障はないな。
あとはデータ化した俺の身体情報で同じサイズのアバターを作れば俺はどこでも活動できる。
スペックと素材を厳選すれば量産もできる。
顔面も同じにすれば学園に通う必要もないかもな。
いや、制御は俺がやっているから実質行っている?
ま、良いか。
俺は第二の体を手に入れたのだ。
もう少し楽しもうではないか。
その前に助手達に一言言っておかねば。
勘違いで吹き飛ばされでもしたら堪ったもんじゃないからな。
面白い! 続きが気になる! という方はぜひブックマークと下の☆をクリックお願いします。
感想、気になった点、世間話、その他ありましたら是非書いてください。




