狂科学者は創る(6)
「所長! 何時まで地下に籠っているつもりですか! もう三日ですよ!」
「チっ......こんなもんか。お前らも良く頑張った。褒美に暫しの安寧をくれてやる。」
「いや何様のつもりで......」
「科学者様だ。」
「カガクシャ?」
「あ、いやなんでもない。気にするな。」
助手から説教を食らってしまった。
仕方ない、今回はこれで許してやろう。
そんな悪役っぽい捨て台詞を吐いて研究を切り上げるハルト。
助手達も大分打ち解けてくれて今やほぼ対等に話せている。
良いことだ。
しかし三日か......時間が経つのは早いものだ。
今やこの鋼鉄の肉体は睡眠不足すらも超越してきている。
超回復の定義を見直さないといけないかもしれないな。
非常に有意義な時間で名残惜しいが......助手の言うことにも一理あるので素直に従っておく。
俺、一応こいつらの主人なんだけどな......。
我ながら主人としての行動が出来ていないので礼儀だなんだ言う筋合いもないがな。
助手によると三日間、地下の実験室に引きこもって俺がしていたのは勿論魔法生物を使った実験だ。
魔法生物は今後人工知能の作成や新しい生命体の創造、魔法の更なる発展に大いに関わってくるはずなので、データ取りを中心に行った。
深層学習を行う回路の構築や流動性のある物質と融合させたもの、単体で変異を促し、進化を促進させたものなど多岐にわたるモデルの作成は楽しかったぞ。
当初から予想していたように、魔法生物は生物としての機能を細かく再現して見せた。
次元の異なる生命体。
その作成と観察はよりこの世界や自身を理解することに繋がる。
そして我ら三次元の生命体と溶け合った瞬間、何が生まれるのかも非常に興味深い。
今日作成したモデル達はこれからも進化を繰り返すだろう。
もしかしたら多細胞生物と同じような振る舞いを見せるようになるかもしれない。
幽霊のような実体はないが自我を持つ存在に。
俺はそれを見守り、補助し、観察する。
寿命があるかどうかすら怪しくなってきたこの身が朽ちるまで。
「所長? なにボケッと立ち尽くしているんですか? 早く自室で寝てください。」
「......? おう、すまん。」
いつの間にか俺は寝ることが決まったようだ。
助手に追い立てられ、ハルトはすごすごと自室に入ったのであった。
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