狂科学者は創る(2)
魔力。
それは魂に付随し、消費することで世の理を捻り曲げ、編集する力。
現実とは次元を共有せず、アストラルとでも称すべき高次の次元に存在する。
極めて人の意識―――情報の混沌―――との親和性が高く、意識と共鳴させることで操作が可能。
密度や属性を変えることで低次の物理現実のエネルギーへ変換可能であり、人々はそれを魔法として活用している。
詠唱によって魔法陣を形成し、魔力供給を行うことで事象と式となる陣を実体化させる。
そこまでは分かっている。
これまでの実験から推測する限り真実だ。
問題は、
如何に恒久的に実体化させるかだ。
実体化に必要な魔力は少ないとはいえ、脳細胞の全てを網羅する数となると馬鹿にならない。
おまけにその場で発動して終了ではない。
細胞内に居続けてもらいたいのだ。
そのためには持続した実体化、もしくは非実体で固定することは必要不可欠。
百歩譲って魔力は取り敢えず良いとしよう。
俺の保有魔力は膨大だ。
そこも纏めて一足跳びは流石に無理がある。
汎用性については後々考えれば良い話だ。
しかし現実世界に留めるためにはどうするべきかという問題。
これは元々のコンセプト上必要不可欠な条件。
と、まあそこで俺の脳味噌は新たな問題を掲げる。
魔道具って結局何なんだ?
今までは余り考えずに使ってきたが、魔道具というのは非常に多くの可能性を内包している。
その分俺の好奇心も多くの疑問を抱える。
魔道具はどうやって魔法を制御しているのか?
その根幹となる魔法陣とは?
そもそも魔力を込めて溝を彫っただけで何が違うのか?
原子のサイズを超える圧縮をかけてもなぜ稼動する?
その法則の限界は?
法則の根元には何がある?
なぜ魔石には蓄えられる?
等々。
今挙げた中でも三四番は早急に検証する必要があるな。
早速サンプルを作らなければ。
「所長? ......また研究ですか、体調には気を付けてください。」
いそいそと研究室に向かうハルトを助手達は呆れた顔で見守るのであった。
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