狂科学者は創る(1)
脳に満ちる情報の混沌への接続。
そのためには部分的な接続では意味がない。
全体を接続してカオスを観測してこそ意味をなす。
「いやどうやって繋ぐんだよ。」
ハルトも唸る問題。
細胞一つ一つに発信器でも埋め込めっていうのかって話である。
そんな微細な作業、いまのナノテクノロジー紛いの魔法加工技術を駆使しても無理である。
「勝手に細胞内へ入ってくれないものか......材料も加味しないとな。」
それ以外の問題もある。
有害な物質で作ってしまってはもちろんアウトだ。
さすがに脳細胞というデリケートな物に入れるわけにはいかない。
どうせ大量生産するんだし、安くできることは必要条件。
これがウイルスやプリオンの類いだったら楽なんだがな......生憎今欲しいのはそのサイズの観測機だ。
ん~?
ウイルス......試す価値はあるな。
しかしそのまま使うわけにもいかない。
俺が欲しいのは複製能力を持ち、増殖を制御でき、人体に無害かつ有能な超小型魔道具だ。
それをミトコンドリアの如く細胞内に共生させたい。
先ずは材質か。
増殖するという点から体内で容易に手に入り、消費されても宿主に害をなさない物質。
思い付く限りでは水分?
炭素はダメだ。
増殖の材料に糖を使うことになるだろうし脳がガス欠を起こす。
......逆にそれしかないな。
水分も2%程が限度だ。
余り現実的とは言えん。
流体を魔道具化する方法も分からんしな。
......いや、あるな。
人体に無害かつ供給源からその寿命が尽きるまで延々と生産される物が。
取り除いたとしても実質無害。
その性質から物質透過なぞ朝飯前だ。
瞬間的にだが、固体になることもできる。
その内包するエネルギー密度も高い。
そんな物理法則を無視した存在が。
そう、
魔力だ。
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