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狂科学者は改造人間(2)


 「後は頼んだ。」

 「わかりました。成功を祈って待っています。」


 助手の見送りを受けた俺は、手術台の上に寝転がった。

 そして頭部を器具の間に挟めば、自動的に固定具が飛び出し全身と頭部を念入りに固定する。


 上からは麻酔用のマスクが降りてきてハルトに麻酔をかける。


 顎も固定されているのでしゃべることはできない。

 八割のわくわくと二割の緊張の中、ハルトはその意識を落とした。



 ****


 「......どうやら死にはしなかったようだな。」

 よっこらせっと体を起こすハルト。

 硬い手術台の上で寝ていたせいか、全身が痛い。


 そのまま暫しじっとして、脳が目覚めるのを待つ。


 両耳の後ろを触れば、触れる固い感触。

 そこに魔力を送ると、



 『起動開始』

 『魔力波形照合完了』

 『システムスタート』


 そして両眼の内部に広がる半透明のディスプレイ。

 幻影魔法の応用で投影されたそれは液晶ディスプレイを遥かに上回る画質を以てハルトの視界を埋め尽くす。


 

 ......ふむ、どうやら成功したようだ。

 慣らし運転に手術の記録でも見るか。



 ****


 麻酔の効果で深い睡眠に入るハルト。

 退出する助手達。

 それを脳波から確認し、ハルトの全身を殺菌する手術台。

 

 耳の後ろへ伸びたアームが治癒魔法でハルトの肉と骨を変形させ、頭蓋骨の露出したネジ穴を開ける。

 そこにまた別のアームが小型マジックサイトの連結部を差し込み、回転させて固定する。

 更に治癒魔法でマジックサイトの固定具に空いた小さな穴へ侵入し、補強する肉。

 連結部は骨組織と絡まりあい、強固に固定される。

 仕上げに連結部の根本へ皮膚が伸び、小型マジックサイトとの結合部を覆う。


 


 とまあ、こんな工程が進んでいたようだ。



 どうやら作業は滞りなく進んだらしい。

 その証拠に俺の両耳の後ろにはチタン製の構造物が生えている。



 助手を心配させるのもアレなので、とっとと手術室から出るハルト。


 「あっ!」

 「終わったぞ。」


 手術室から出てすぐミリアと出会ったので、声を掛けると、

 「所長~」

 そう悲鳴じみた声を上げながら突進してくるミリア。

 何だ?

 何があった?

 と思っている内にまだ幼くラブリーで小さな俺の体に抱きついてきた。


 何だ? 愛の告白か?

 ショタは一寸......いや、精神年齢で数えれば俺がロリコン......グハァ。

 いっいや、ミリアがおじさん好きと考えて......



 てかなにアホなこと考えているんだ俺は。

 麻酔のせいでまだ思考が浮わついているのか?


 まあ取り敢えず話を聞いてみよう。

 「どうした?」

 「所長が死ぬかもって......死ぬかもって......」

 あ察し。


 俺が手術前に、

 「もしかしたら俺死んでいるかもしれんから一日に一回見に来るように。」

 と言っておいたのが随分響いているらしい。


 まあ死んでも女神が生き返らせてくれるだろうし、転生したら別人だった場合も加味してそこら辺の対処法は渡しておいたんだがな。


 しかし......これは少し面倒臭いことになりそうだ。



 恐る恐る会議室の扉を開ければ、

 「「「「「「「所長!?」」」」」」」



 この後むちゃくちゃ泣きつかれたのは言うまでもない。

 抱き締められるあまり、ハルトは窒息死しそうになったのはご愛嬌。




 今日も研究所は平和だった。


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