表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/316

狂科学者、魔法陣を解析する。


 さて、と。

 俺の部屋には大量の紙が散らばっていた。

 

 全て自分で考案した魔法陣である。

 女神が全属性の適性と実質無限に増やせる魔力を与えてくれたおかげで、俺は全ての魔法を使える。


 その中で様々な魔法の魔法陣を写したんだが、これがしんどかった。

 最初に作った魔法陣は熱できれいに焼き付けられていたんだが、基本的に瞬間的に発動する類いは魔法陣がすぐに消えてしまってなかなか写せなかったのだ。


 まあそれも「炎よ、魔法陣を熱を持って焼き写せ」という詠唱の魔法を編み出して魔道具化してからは、魔道具の上に紙を置いてそこを起点に魔法を使えば一瞬で魔法陣の焦げ跡が転写できるようになったから楽になったんだけどな。


 まあそんなこんなで魔力の向上もかねて魔法陣を転写しまくったのには理由がある。

 何かというと、魔法陣の解析。

 魔法陣の各模様がどんな意味を持つのか認識できればもっと便利になるのでは? と思ったのだ。


 だから詠唱的に似通ったものから遠いものまでいろいろかき集め、順番に並べて観察してみようと思ったのだ。

 なに、まだ俺は一歳。時間はたっぷりあるのさ。

 そうしてハルトは山積みの石板片手に研究を始めた。


 




 ****

 

 「なあミレア?」

 「何ですか? あなた」

 「ハルトは今どこだ?」

 「あの子はさっきから大量の石板と一緒に部屋に閉じこもっていますよ?」

 「またか?」

 「ええ、今度は『魔法陣を調べるんだっ』ってとっても嬉しそうにしていたわ。」

 「......私は時々ハルトと話して、まるで友人と話しているような気分になるよ。」 

 「そうね、あれでまだ一歳なんですもの。」

 「ほんとにな。あの子と話すようになってから、うちの商会の利益は一気に増えたよ。」

 「石鹸のこと?」

 「ああ。」

 「あの子は私たちの息子よ? 図書館にある本ではないわ。」

 「わかっている。私もハルトの幸せを願っているが、あいつはどうも......何かを必死に探している。それに金が必要なんだろうな。私もハルトが商談を持ち掛けてきたときはびっくりした。」

 「あの子は大物ね。」

 「そうだな。」





 ****


 「ふい~」

 や~ようやく終わった。

 これで魔法陣の模様が持つ意味は大体わかった。


 一番外の円が魔力の入り口になっていて、中の正三角形で六つに仕切られたところに入る模様で属性指定、最後に真ん中の文字で形態や効果を設定、魔法陣の真ん中から魔法が発動する。


 さらに言うと、すべての魔法陣にある真ん中のスペース上部には全て同じ模様が刻まれている。それはどうも魔法の効果を微調整するために術者の思念波を受け取る部分らしい。魔道具化して取っ払った時問題なく機能するどころか余計な雑念が無くなって効率が上がったのでそう推測した。



 そしてようやく完成したのがこちら、

 『特定成分分離魔道具一号&二号』である。


 二台共に石板で作ってあり、石板の右側に石鹸の材料を置いて魔力を流すと一号では設定されている炭酸カルシウムを、二号では炭酸ナトリウムを左側へ分離できるのだ。後は分離した残りかすを捨てて左側を水へ投入すれば水酸化ナトリウムが手に入る。

 

 これは土属性の魔法陣を使って成分を分離するだけなので簡単に作れた。これで海藻から微量しか取れない炭酸ナトリウムを効率的に集められるという寸法だ。







 ****

 「パパ~石鹸の成分を分離できる魔道具とその設計図。」

 「90万レアで買おう。」

 「まいどあり~」



 作った道具は九百万円で売れました。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ