狂科学者はホームシック
パチリ。
目を開ける元死刑囚の、首。
いや、生体ではないがれっきとした体があるので元死刑囚と呼ぶ方が正確かもしれない。
ともかく麻酔が切れて、彼らは目を覚ました。
斬首の時もショックで気絶していたが......変な心配は不要のようだ。
「我が研究所にようこそだ。MBP-1そしてMBP-2。今日から君達はその名を名乗るように。」
「え......なん゛あ......」
「ああ、まだ無理に喋らなくて良い。まだ発声器官は不調だろう? これからお前達の名前はMBP-1とMBP-2だ。分かったなら......そうだな、目で四回瞬きしろ。」
パチパチパチパチ
聞こえているようだ。
こいつ等は首も人工筋肉だからな、首を振るにも訓練が必要なのだ。
因みに名前はメカニカルボディ・プロトタイプの頭文字だ。
義肢を含め、これからはMBと呼ぶか。
いつまでも名無しの「アレ」だと面倒臭いし。
少なくとも耳はそっくり残してあるので何を言っているかは聞き取れるはず。
発声は肺の機能をMB化したから少し練習が必要だろうな。
「よし、では今現在のお前達の状況を説明する。無理に反応はせず、ただ頭に入れれば良い。」
そうして俺は授業を始めた。
内容は、
こいつ等の現在の状況、要約すれば首から下は魔道具になっている。
今残っている身体機能、これは排泄が特殊なのと性交渉ができない以外特に違いはないただしホルモンバランスを保つために生殖器官は残っているので要注意。
これからの処遇、我が研究所で被検体として働いてもらう、給与は応相談。
等々。
一通り話したあと、
「数日内に移動するので、それまでに最低限体を制御できるよう慣れる努力をしてくれたまえ。」
目が覚めたら首から下が魔道具になっていた。
おまけに名前も強制改名させられた。
そんな御伽話にも無いような現実を知った二人は呆気に取られて身動き一つしない。
……単に体の制御ができなくて動けないだけなのかもしれないが。
どこに移動するのかといえば勿論研究所の本部。
あっちにはレント叔父さんやエマ等MBの制御に長けた人材がいるからな。
全身の制御となると、苦労は段違いだろうし、先輩からのアドバイスはある程度効果あるだろう。
ついでに元死刑囚三人組の改造もゆっくりできるので一石二鳥だ。
そろそろ長期休みに入るし、時期的にも申し分ない。
ああ、早く向こうに帰りたいものだ。
自由だった幼少期に想いを馳せるハルトであった。
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