狂科学者と処刑台
「さてさて、そろそろだな。」
元々決まっていた二人の処刑の日、ハルトはワクワクが止まらなかった。
今日のためにアランに支部を買って貰い、元死刑囚三人を教育し直したのだ。
本番では機材を運んでもらう予定だ。
台車に積み込みも終わっている。
人工血液もしっかりと作った。
メインコンピューターが出来た今、ナノサイズの作業も行えるため、人と同じ細胞膜にヘモグロビンを大量に詰め込んだ人工血球を作り人の体液と同レベルに希釈したものだ。
効果はネズミ達を大量に消耗して行った数々の実験や元襲撃者達が体を張って証明している。
あとは魔道具の効果で生体と融合できる人工血管と人工心肺、栄養剤のタンクのセットもな。
もしもの時の最終手段も用意してある。
担架も数台待機している。
できる限り迅速に処置を行えるように、工夫もした。
キリキリと音を立てて持ち上がる、ギロチンの重厚な刃。
元死刑囚の二人が壇上に上がる。
どちらも恐怖で顔面蒼白だ。
そりゃそうだ。
だって首切られるんだからな。
普通死ぬし。
だが余り取り乱そうとしないのは俺を信じているからか?
女の方の首がセットされる。
そして俺がハンドサインを出せば、
「執行」
重々しい宣言と共に断ち切られるロープ。
巨大な刃はその落下エネルギーを持って確実にその首を落とす。
ゴロンッ、と血を噴き出しながら転がる首。
「行けッ!」
側で待機していた三人の助手が直ぐ様首を拾い上げ、装置に嵌め込む。
仕掛け道理に頸動脈へつながる人工血管。
内蔵された治癒魔法が細かい血管を塞ぎ、人工心肺が接続時に入った微量の気泡を除去、酸素を大量に含んだ人工血液を循環させる。
ついでに体の方も担架に乗せて直ぐに生命維持装置と繋げた。
「脳波は?」
「安定しています。」
「よし。次もこの調子でやれ。良いな?」
「「「分かってます。」」」
そして二人目も無事、成功した。
「じゃあ、撤収しろ。」
「「「了解です!」」」
そしてハルトとその愉快な仲間達は処刑台を後にしたのだった。
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