狂科学者は呼び出しを食らう
気紛れで苛めに介入した次の日。
「ハルト、お前は後で学園長室に来いとのことだ。」
「はい?」
唐突な呼び出しに戸惑うハルト。
まあ呼ばれたので行くしかないんだが......俺何かしたか?
まあ行けばわかるか。
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コンコン
「入れ」
「失礼します。」
「貴様が例のハルトか......まあ座れ。」
はいよ。
学園長に勧められるがままにソファーへ座るハルト。
革張りで中々しっかりとしている。
学園長も執務机から立ち、向かい側に腰を下ろした。
「......一応確認しておくが、貴様が今年度の首席、ハルトだな?」
「はい。」
「では本題に入ろう。貴様が最近実習で製作した火属性の魔道具だが、王家直属の解析機関から研究対象として提供して欲しいとの要求があった。その返答に関して後日王宮で謁見させ、その場で返答させるようにと命令を受けている。」
「要は魔道具を寄越せと。」
解析機関か......随分とでかい組織が出てきたものだな。
解析機関は王家の承認のもと過去の技術の解析や新しい技術の開発を目的とした活動をしている機関だ。
国でも最上位に位置する錬金術師達によって構成されている。
まあ無能だ。
発想が凝り固まっている錬金術師共が発見することなんてたかが知れている。
だからこそこの世は停滞しているのだ。
で、新しい人材の発掘も平行して行うために学園の実習で作られた魔道具の採点を請け負っているといった所か。
「要件はそれだけだ。謁見は五日後。迎えが来る。それまでに考えておけ。」
「失礼しました。」
さてさて......どうしたものか。
王宮にやるかやらないか。
どっちにするかね。
別にやったからといって俺にデメリットは......無いな。
どうせ超初歩的なやつだ。解析したところで何も得られん。
仕込みもあるから問題ないだろ。
よし、くれてやろう。
即断即決して寮へと歩くハルト。
しかし俺も有名になったもんだ。
まさか王宮から声がかかるなんてな。
面倒臭いことがまた増えた。
女神に呪いでも掛けられたか?
その面倒臭いことが増える原因が己の行いにあるということには気付かないハルトであった。
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