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狂科学者は賢者の影


 教科書の執筆を終えてから数週間が経った。

 魔法の教科書は最初あまり売れなかったが、安さと内容の正確さが知られるようになってからは様々な人が買い求めるようになった。

 一般人でも無理なく買える値段設定が効いたらしい。

 あと分かりやすい表現を心がけたのも良かったのかもしれないな。


 この世界の既存の教科書は、ある程度の知識人以外は門前払いと言わんばかりの詩的な表現が多いからな。結構分かりにくいのだ。

 わざわざ教本にまで見栄を張らんでも良いだろうに......。


 勿論俺にも金は流れてきている。

 まあほとんどが安い紙の出す利益だけどな。

 色素の分解と圧縮する製法で白く薄いうえに、手触りが滑らかかつ安いのが受けたらしい。

 本当にこの世界の物価の高さが窺える。



 紙の方は正直どうでもいいので製法は既に公開済み。

 既にいくつかの商会では生産を開始しているらしい。

 製造用の魔道具も少々高めだが、まあまあ利益をあげている商会だったら手が届くレベルの値段設定で売っている。

 紙が安価で手に入らないのに産業革命とか箸でメレンゲを作るぐらい面倒臭くて難しいことだ。

 情報の記録というのは大事なのだよ。



 ちなみに著者のところにはハルトと書いてある。

 余り有名にはなりたくないが、「何をするにも対外的な実績というのは大事だからな。」という父さんのアドバイスを受けてしぶしぶ入れた。


 ユアなんてどこからともなく手にいれて、直ぐ俺に、

 「これ書いたのハル君?」

 と直球で聞いてきたぞ。


 理由を聞けば、

 「読んでいたらハル君の声がした。」


 ......意味がわからん。

 指導内容が似ていたとかそういうことか?



 王子が読んでいたのは......まあ、予想内。

 あいつは俺の魔力量の手懸かりを掴みたくて必死なんだろう。

 分かりやすい王子だ。

 政治とかは向いていなさそうだな。

 

 


 そのせいか、貴族達にも受け入れられている。

 こんな低俗な本など我々の読むものではないとかほざいて読まないと思いきや、王子が読んでいるから変な箔が付いている。


 

 お陰で『ハルト』は有名人。

 別に俺が有名なわけではない。

 あくまで俺と同じ名前の、『誰か』だ。



 気付いている奴も学園内にはちらほらいるが、大抵の奴の頭の中では白い髭を蓄えたジジイだ。

 賢者なんて言う奴も居る。

 俺は髭は生やさんし、科学者だ。

 前世では髭剃るのが面倒くさくて脱毛していた記憶がある。



 ......色々あったが、人類の知識を高めよう計画はかねがね順調だ。


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