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狂科学者は焦る


 「......っつ、次! 57番!」


 混乱しつつも予備の的を設置し直して試験を続行する監督。

 すまんな。

 もう少し抑えたつもりだったんだが......


 予想以上に俺の魔力量は増えていたらしい。

 大まかな割合で算出した魔力量では過剰だったようだ。

 普段魔力や身体能力を押さえつけている拘束具もそろそろ限界だな。

 

 普通数百人の魔法使いを動員する大規模な魔法も数千発なら軽く行使できる。

 それほどの魔力を持ちながら、普段は押さえつけていたハルトの感覚は深刻な誤差を抱えていたのだ。


 おまけに何気なくオリジナルの魔法を使っていたな。

 元々エーテルキャノンを開発していたときの副産物だったものだし、効率も段違いだったのだろう。



 心なしか周囲の空気が冷え込んだ気がする。

 目立たずに上位の成績をとる作戦は失敗だな。



 「次! 80番!」

 お、次はユアか。

 研究の合間とかに時々魔法の理論とかを教えてやっていたが......どんな魔法を見せてくれるのやら。 


 「『融解熱(メルト·ヒート)』っ!」

 あー


 あれか。

 結構前に教えた熱効率が半端ない魔法だ。

 魔力炉を作ったときの副産物だったはず。


 勿論、的は溶ける。

 ついでに周囲の気温が上がった。

 

 単純に魔力を熱へ変換する初歩的なやつだが、変換効率が圧倒的なため高威力を叩き出せる。

 それだけだが......見た感じ、俺程ではないが目立つな。

 的を破壊しているし。


 


 おい、こっちに手を振るんじゃない。

 入学早々魔法がヤベェやつ等という不名誉な称号が付いてしまうだろうが。


 

 他の奴等の魔法は変換効率がガバガバで論理的なイメージもままならないぼろくそだったから余計に目立ってしまった。

 次の武術では押さえ気味に......



 いや、

 ここまで来てしまったなら開き直った方が楽だな。

 優秀なものには胡麻擂りと敵意が付き物だ。

 魔法ができても武術が苦手っていう奴は体格の良い奴等に絡まれる可能性がある。

 ここはセーブしつつも強さを見せる感じで......。


 そう考えていると魔法の試験が終わった。

 最後に残った武術の試験をするべく、誘導係についていって闘技場チックな場所へと移動する。


 

 「ここでは魔法の使用は禁止だ。よって魔道具をつけている者は外して試験を受けるように。違反したものは失格とする。」

 そう言った直後に各受験生を見回り始める誘導係。


 



 ......



 は?



 ヤバい、変な汗が出てきた。

 まさかこんな落とし穴があるとは。


 

 俺は約八年間の間身体能力を毎秒向上させてきた。

 その最大出力は俺でも計り知れない。

 加減も全く分からない。

 それをよりにもよって解き放てと?


 試験に落ちることはないだろうが......相手になる人を殺らないよう気を付けないと不味い。

 拘束を外した俺は腕の一振りで剣すらも折れてしまう。

 存在値という概念は物理現象すらも軽く覆してしまうからな。


 「おい、56番。その腕輪は魔道具だろう? 今すぐ外せ。」

 軽く混乱していたらせっつかれてしまった。

 仕方ない。

 外すか。

 


 ギシィッ!

 ハルトの腕輪が外れた瞬間、誰もがそれを聞いた。

 いや、感じた。

 ハルトの周囲に広がるプレッシャーを。

 魂の鳴らす警鐘を。


 誰もが理解した。


 


 ―――これは人ではないナニかだ―――





 「......本当に良いのか?」


 「ひっひィあいっ!!??」


 こりゃダメだ。 

 話が通じねぇ。

 つか受験生も半分近く漏らしているな。

 ユアは意外と耐えている。


 なんか誘導係の人が発狂しそうなので腕輪を嵌め直す。

 「結局どうすんだ? これじゃ試験にならないと思うんだが。」

 「......少し待ってください。」

 

 すげえ、さっきまで威圧感だしてたのに一瞬で言葉遣いが丁寧になったぞ。

 なんかスッキリするな。



 そして上の指示を仰ぎにどっかへ行く誘導係を見送るハルトであった。 

 


 

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