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剣と少年  作者: 敦
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第58話 海賊退治

 ニンモート行きの船の上、のんびり平和に過ごしていたら、突如船内に声が響いた。

「海賊だー」

 どうやら、海賊が出たようだ。

 俺は急いでレーヴェを手に取り、甲板へと向かった。


 甲板に出るとすでに数人の冒険者たちが集まっていた。

「どこだ」

「おう、ノーラン、あそこだ」

 俺は指示された場所をじっくりと見つめてみた。

 すると遠くの方に小さく見える船があり、よく見るとそのマストには黒い旗が風になびいていた。

「あれか、まだよく見えないな」

 いくら何でも俺の目にはよく見えなかった。

『私にもよく見えないわね』

 レーヴェにも同じようになかなか見えないようだ。

 俺はともかく、レーヴェは別に目がありそれを使っているわけではない、だから視力とかそんな問題ではなく、レーヴェの魔力が届かないだけだろう。

 それほどの距離ということだ。

「やべぇな」

「どうした」

 遠くを見ることができる望遠鏡という道具を使い、船を見ていた冒険者の1人がそうつぶやいた。

「どの海賊だ」

 他の連中も何かに気が付いたようだったが、俺には訳が分からない。

「あいつら、ヒュリップスだ」

「ヒュリップスだと、まじかよ」

「おいおいおい、なんでいきなり、やつらなんだよ」

 何やら甲板中がパニックになっていた。

「おい、なんだよ、そのヒュリップスっていうのは」

「海賊の名前だよ」

 そこに緊張した面持ちのナーヤがやって来た。

「どういう奴なんだ。どう見ても普通の海賊じゃなさそうだけど」

「そうだね。一言でいえば、最悪、ってとこかな」

 よっぽどの相手のようだ。

「奴らは、出会ったら最後、男は皆殺しにされ、女は奴隷にされる。金品は根こそぎ奪われ、最後は船を沈めるっていうかなり残忍な奴らだ」

 とここでまた1人話に加わってきた。

「カジム、それ、まじなのか」

 俺は思わずその冒険者カジムに尋ねた。

「ああ、まじだ。といっても、生き残りはいないからな、そういわれているとしか言えないが」

 それはそうだろう、それにしても最悪の連中であることは変わりないだろう。

「サイトス、どうやって戦うんだ」

 この船に乗っている冒険者たちはほとんどが俺と同じDランク、その中で実はサイトスとナーヤはCランクに上がっていた。というわけで俺たち冒険者を指揮するのはサイトスだ。

「お前と、カイナがいれば問題ないだろう、だが、ほかの連中では少々手こずることは明白」

「ということは、まず、俺とカイナで乗り込むか」

 俺としては問題ないしむしろありがたい、何せ俺とカイナの獲物は、大剣と槍という見方が大勢いる中で戦うには不向きだ。

「ああ、そうしてくれると助かる。ほかはその援護だ。船は俺に任せておけ」

 サイトスがそういったが、どうするつもりだろうか。

「っと、そろそろだよ」

 俺がサイトスに聞こうと思ったらどうやら時間切れ、海賊どもがやって来たようだ。

 ということで、サイトスに聞くことをあきらめて魔法を唱える。

 唱える魔法は、風魔法で物を巻き上げる“フロート”それを自身に掛けることで体を浮かせるいわゆる飛翔魔法だ。

 これを使えば体を浮かせ海賊船に乗り込むことができる。

 しかし、この魔法、飛んでいる間中ずっと魔法をかけ続けなければならないために、魔力の消費が激しい、だからこんな使い方をするのは魔力炉で無尽蔵に魔力を使える俺ぐらいなものだろう。

「行くぞカイナ……“フロート”」

 俺がそう唱えると。俺とカイナの体が浮きあがった。

「おおっと」

 カイナは思わずよろけたがすぐに体制を整えていた。さすがだ。

 それから、俺たちは海賊船に向かって進んでいった。

「すげぇな」

 後ろからそんな声が聞こえた。


 そうして、海賊船に近づいてきて俺たちは降り立った。

「よっと、カイナ、大丈夫か」

「ええ、やっぱり、着地は少し安定しないわね」

「まぁ、そういう魔法じゃないからな。さてっと、カイナは船尾方面を頼む、俺は船首だ」

「了解、一暴れしますか」

「へっ、バカが、あんな事すれば魔力が尽きているはずだぜ、おい、お前ら、男の方は殺せ。女は……ほぉ、こうしてみるとかなりいい女じゃねぇか、よし、お前ら、この女は生かして、後で船長に差し出せ、そのあとは、俺たちだ」

「おおっしゃぁ」

「いやっほぉお」

「やる気が出るぜぇ」

「ヒヒヒッ、楽しみだぜぇ」

 海賊たちはカイナを狙って息巻いている。

「ノーラン、なんか、変に怖いんだけど」

 さすがのカイナもこれには恐怖を感じたらしい。

「安心しろ、俺もこえぇよ」

 海賊たちのぎらついた眼は男の俺でも怖い。

『確かに、怖い人たちね』

『これなら、悪魔族の方が、怖くないんじゃない』

 レイラとレーヴェもさすがに怖さを感じているようだ。

「はははっ、だったら、さっさと」

「片付けるしかないわね」

「ああ、行くぞ」

「了解」

『いつでも、いいわよ』

『こういうのは初めてね、カイナ』

 俺の掛け声にカイナ、レーヴェ、レイラの順に答えいざ俺たちに戦場での戦いが火ぶたを切って落とされた。


 といっても、そこまで気合の入った戦いではなかった。何せ、俺とカイナが合わさって、神剣であるレーヴェとレイラを振り回しているだけで、普通の人間がかなうはずがない。

 だから、俺たちはあっという間に周囲にいた海賊をほとんど倒してしまった。

「なんだ、こいつら」

「つ、強い」

「化け物か」

 海賊どもも俺たちに恐怖しかけていた。

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