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剣と少年  作者: 敦
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第49話 ナンバル勇者王国王都

 レーヴェの姉たる剣を取り戻すため、俺たちはついにナンバル勇者王国王都にたどり着いた。

「やっと、ついた。ここに剣があるのよね」

 カイナはようやく出会える相棒たる剣に、思いをはせている。

『ええ、私もやっとお姉さまに会えるわ。ノーラン、早く行きましょう』

「そうだな。今はまだ、無理だろうけど、その前に一度見ておくか」

 俺たちははやる気持ちをそのままに、レーヴェの姉たる剣が聖剣として展示されている王城に向かって歩き出した。


 王城の場所は、街の中央で、入り口からも目立っていたし、何より人の流れが出てきていたこともあり、迷うこともなくたどり着くことができた。

「やっぱり、聖剣だけあって、誰もが見に来るんだな」

「そうみたいね。私だって、知らなかったら、ほかの人たちのように見に来ていたと思う」

「だよな、もしかしたら、カルミナも見に来ていたかもな」

「そうかも。そう考えると、なんか変な感じだけど」

 それはそうだろう、カルミナはエレナの記憶があった。にもかかわらず、剣を見に来て気が付かずに去ってしまったわけだからな。

『この先にお姉さまがあるのね』

 レーヴェは早く姉に会いたいようだ。まぁ、気持ちはわかるような気がする。なにせようやく会える姉妹だからな。

 そんな風に歩いていると、ようやく王城が見えてきたが、ここからが長かった。

 なんといっても、長蛇の列だったからだ。

「これ、みんな、並んでいるのかよ」

「そうなると、剣までたどり着くのはいつになるのかわからないわね」

「ほんとにな」

 そういいながらも、俺たちも列に並び王城に向かった。

 途中では、そんな見物客を相手に商売をする人も多数いて、俺たちはその商人から軽食などを買ったり、饅頭を買って食べたりして、時間をつぶしていった。


 そして、並び始めてから数時間が経った頃だろうか、ようやく剣を展示している王城の1階エントランスわきにある展示室にたどり着いた。

『い、いよいよね』

 レーヴェが珍しく緊張している。

「え、ええ、そうね」

「おう、そうだな」

 カイナも俺もともに緊張していた。

 カイナはわかるがなぜ俺が緊張しているのか、単純に2人の緊張が移ったからだった。

 そして、俺たちの前の人がその場を離れたことでようやく、今、俺たちの目の前に、レーヴェの姉たる剣が姿を現した。

 その姿は、まさにレーヴェがあの台座に刺さっていた時の姿そっくりであり、レーヴェが片手剣になった時とうり二つ。また、デリタルダンジョンで見た、その剣そのものだった。最も、生で見る今の方がよっぽど神聖さは感じる。

 ゴクッ

 誰かが生唾を飲んだ。俺かもしれないし、カイナかもしれない、そんな音が響いていた。

「これが、私の、エレナ、あとちょっとよ。それと、名前はまだわからないけど、必ずあなたを取り戻して見せる。待ってて」

 カイナは剣にそう小さくつぶやいてから、俺たちは名残惜しそうにその場を離れた。

『お姉さま』

 レーヴェも名残惜しそうだ。


 剣を見終わった後すでに夜となっていたために宿に入った俺たちは、俺の部屋に集まっていた。

「ノーラン、私、あの剣を必ず取り戻す」

『ええ、私も改めて、そう思ったわ』

 カイナもレーヴェも気合十分だ。

「ああ、そうだな、俺もそう思ったよ。確かに俺とあの剣には直接な関係はない。けど、カイナの気持ちはわかるし、レーヴェにとっては家族だからな。ということは、俺にも家族だし、必ず取り戻すぞ」

 俺もまた気合十分だった。

 というわけで、その日は、それぞれの部屋に戻り休むことにして、明日、さっそくギルドに向かうことにした。


 次の日、俺たちはギルドに顔を出していた。

「おう、来たか、思っていたより早かったな」

 俺たちがギルドにつくとそこには、すでにギルドマスターのハッサンと、3人の高位冒険者たちが待っていた。

「ついたのは昨日だけど、昨日は、実際に剣を見に行ったんだよ」

「ほぉ、それで、どうだった」

「間違いないわ。あれは、神剣、私が本来持つべき剣よ」

 カイナがそう答えた。

『ええ、そうね、間違いなく、お姉さまよ』

「というわけで、俺たちは気合十分なんだが、そっちの準備はどうなったんだ」

「ああ、順調だ。あとは、いつ実行するかの検討をしていたところだ」

「候補は?」

 俺はさっそく実行日の候補を尋ねた。

「早くても明後日あたりだが、警備の状況などを考えると、5日後がベストだろう」

「5日か、まだ結構あるな」

「なんで、5日後なの」

『そうね、聞かせて』

 早く取り戻したいカイナとレーヴェは食って掛かった。

「まず、明日は無理だ、明日は、殿下が市場視察があるから、警備が強化される」

 また、妙なタイミングだったようだ。

「それに伴って、今日から警備兵が増員されているんだよ。それで、明後日の予定は王城から離れた場所なんだが、時間が短いし、さすがに騒ぎを起こすにはリスクが高すぎるだろうな」

「確かに、下手したら、騒ぎを起こした連中は牢屋行き決定だろうからな」

「そういうことだ。となると、警備が落ち着くころ合いを見計らうことになるからな。そうなると、5日後当たりとなるってわけだ」

 実際は、もう少し早くなるだろうけど万全を期した日数だったようだ。

「それなら、仕方ないか、わかったわ」

『そうね』

 カイナとレーヴェもしぶしぶ了承した。

 というわけで、決行は5日後以降となり、今日はちょっとした調整などを話し合ってから解散となった。


 それから俺たちの行動だけど、簡単に言えば観光だった。

 作戦準備はいいのかというと、本当ならやることはいくらでもあるそうだ。

 しかし、俺たちは実際に剣を手に入れる。そんな俺たちが裏で動いてもしものことがあると最悪な事態となりえるし、何よりレーヴェが大剣になっても赤いラインが残っているようにわずかにその特徴が残る。ありえないが、もしカイナが持つ槍がそれだとバレる可能性がないわけでもない。だからこそ、この準備段階では俺たちはあくまで無関係を装う必要があるというわけだ。

 ということをハッサンやアレイド達に言われたので王都の街を楽しんでいるというわけだ。

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