第48話 作戦会議
「まずは見てほしいことがある」
俺はそういってからレーヴェを持ち、部屋の隅に移動した。
それから、その場所にレーヴェを置き、俺はというとその反対の隅に向かった。
「何をするんだ」
「まぁ、見ててくれ、行くぞ、レーヴェ」
『ええ、いつでもいいわよ』
レーヴェの返事を受けて俺は右手を前方に出して言った。
「来い、レーヴェボルグ」
俺がそういった瞬間、部屋の隅に置いてあったレーヴェが突如光り輝き次の瞬間、その場から消えた。
「なっ、消えただと」
「まさか」
ギルドマスターたちがまさかと俺の方を見た。すると、俺の手の中には先ほど消えたはずのレーヴェが収まっていた。
「おいおい、それって、まさか、転移か」
正確には少し違う、これはレーヴェが俺の考えを念話を使わなくてもわかるのと同じで、単に俺とレーヴェが剣と所有者という形でつながっているからできることだ。
そして、神剣であるということもそれに関係しているといえるだろう。
「……なるほどな。そいつは、聖剣にも宿っているというわけか」
そう、今の発言の通りレーヴェの姉たる剣にも当然備わっているものだ。
「ああ、これを使えばどんなに離れていてもカイナが呼べはすぐにでもその手に収まる。だが……」
問題もある。
『私は、目覚めているから呼ばれればノーランのところに行けるわ』
そういうことだ。つまり、
「いまだ目覚めていないレーヴェの姉たる剣では……」
「呼ぶことはできないってわけか」
さすがにわかったようだ。
「そういうことだ。だから、まずはカイナが剣に触れる必要があるんだ」
「触れるって、そいつは、また無茶なことを」
「まったくだぜ。聖剣は厳重な警備の中で公開されているんだぞ」
「そうよ、どうやって、触れるのよ」
やはり、無理があるらしい。
『触れる場所は、組みひもでも、何かを通してもいいのよ。とにかく、カイナとお姉さまがつながりさえすれば、お姉さまは目覚めるわ』
レーヴェも必死だ。
「そうは言うがなぁ。そうそう、できるものでもないぜ」
「触れる、触れるか」
「何か方法はないか」
「いや、ちょっと、待てよ」
ここで、高位冒険者の1人でもある剣士のアレイドが突然待ったをかけた。
「どうした、アレイド」
「いやいや、お前ら、落ち着けよ、もしもだぜ、もし、その剣にこの嬢ちゃんが触れて、目覚めたとして、呼ぶことに成功したとしてもよ。聖剣の姿形は知られているんだぞ。すぐにばれるじゃねぇか」
「あっ」
「……そうだったな」
「やっぱり無理じゃないか」
「さすがに、俺たちもそれには関われねぞ」
やっぱり、そこに行きつくよな。でも、それにも俺たち的には問題なかった。
「それなら、問題ない。レーヴェ」
『ええ』
そういって、レーヴェが片手剣の姿に変わった。
「なっ、なに」
「えっ、レーヴェボルグ様って、さっきまで大剣だったよね」
ミレイがレーヴェに様を付けたのは少し気になったが、今は気にしないでおこう。
「簡単に説明すると、レーヴェにもその姉である剣にも形状変化の能力があるんだ。これには、カイナのスキルが関係しているんだけどな」
「どういうことだ」
ここで、俺は再び説明した。
それは、そもそもレーヴェの姉たる剣が生み出されたのは、カイナの前世であるエレナに使わせるためであった。エレナは一見すれと槍遣いだ。でも、実際にはあらゆる武器を使いこなす戦士となる。そんなエレナのための機能として、その剣自体もあらゆる武器に変化できるようにしたというわけだ。
最初に片手剣なのはただ単に、神剣としての基本形状であるだけに過ぎない。
「……というわけだからな」
「多分、私のこの槍にそっくりになると思うわ。レーヴェの大剣となった姿もレイフ様が見せてくれた、アルバーの剣そっくりだったし」
そうなのだ、俺も聞いていたけど驚いた。本当にレーヴェはアルバーの大剣にそっくりだった。
「確かに、普通武器が形状を変えるなんて思わない。剣が槍になればだれにも気が付かれないってわけか」
「ええ、それに私はすでにこの槍を背負っているから、たとえ堂々と王都を歩いても誰も気が付かないと思うわ」
カイナの言う通りだろう。
「うーむ、確かに、そうだろうな」
「わかった、そういうことなら、協力できそうだ」
「そうね、何より、レイフ様が直々の願いというのなら、私には断るなんて選択肢はないけど」
「なら、話は早いな。要は、カイナが剣のどこかに触れることさえできればいいわけだろ、ということは、騒ぎを起こすか」
「騒ぎ?」
「ああ、聖剣の近くで騒ぎが起きるように仕向けて、警備兵や民衆の注意を引き付ける。そのタイミングでカイナ、触れることはできるだろ」
この作戦を立てたのはゴードンという戦士だ。
「騒ぎって、何をするんだ」
「それは、俺たちに任せろ、高位冒険者っていうのは伊達じゃないぜ」
何やら不敵な笑みを浮かべるのが少々怖いが、まぁ、任せるとしよう。
というわけだ大体の作戦が整ったところで、解散することにした。
「それじゃ、俺たちは準備があるから先に王都に行っているぜ。まぁ、お前らはのんびりと観光でもしながら来いよ」
「そうだな。それがいいだろう、準備にも時間がかかるだろうしな」
「俺は、お前らのしりぬぐいを考えると憂鬱になるがな」
「それじゃ、ノーラン、カイナ、レーヴェボルグ様、王都でね」
こうして、高位冒険者3名と王都ギルドマスターはさっさと王都に戻っていった。
「俺は、ここのギルマスだからな、手伝えないが、ある程度の情報操作ぐらいはしておいてやるよ」
そして、ここのギルドマスターカイルもそういって部屋を出て行った。
「俺たちは、宿でも取るか」
「そうね」
それから、俺とカイナは宿に向かい、次の日メリクサを発ったのだった。
次はいよいよ王都、ようやく念願のレーヴェの姉たる剣をカイナが手に入れ、レーヴェが姉に会えるというわけだ。
あれ、この話俺ってあまり関係がなくないか。
そんな疑問を持ちながら王都を目指し歩き出した。




