第39話 結成
「そういえば、カイナにはまだ話していなかったな」
「何を?」
「俺はレーヴェを手に入れるまで、剣はもちろん槍も使えなかったのは話したよな」
「ええ、聞いたわ。確か剣術スキルも封印されていたのよね」
「そう、だから、レーヴェを手に入れるまでの俺は魔術を使っていたんだ」
ここで俺はレーヴェを手に入れるまでの話をした。
「そうだったんだ。それで、魔力量が多いってことなの」
「いや、魔力量はそれほど多くないよ。これのおかげなんだ」
俺はそう言いて、腰にぶら下げている魔力の補充をしてくれる魔道具魔力炉を見せて説明した。
「すごい、そんなものを、ノーランが作ったの」
思っていた通りカイナは驚愕した。
「まぁな、だからこれがあれば、俺はいくらでも魔術が使えるんだ。といっても、俺の保有する魔力を限界まで使うような魔法は無理だけどな」
「でも、放っておけばすぐに回復するんでしょ」
「ああ、そうだな」
「すごいわね。私も欲しいくらいよ」
カイナも欲しがっているが、これは当然だ。何せかなり便利なものだし、戦闘に使えばかなり有利になるものだからだ。
「そうだな、できるかどうか試してみるよ。といっても、できるかどうかはわからないぞ」
「ええ、それでもいいわ。お願い」
こうして、俺はカイナにも魔力炉を作ることにした。といっても、俺の魔力炉は本当に偶然の産物だ、できる保証は全くない。
そんな話からしばらく歩いたところで、前方に城壁が見えてきた。
「あれが、デリバール」
「みたいだな」
『どんなところかしらね』
俺たちはそれぞれデリバールという街に期待しながら向かった。
「身分証は?」
何やらぶっきらぼうな門番だ。
だからといって特に気にすることなく俺とカイナは冒険者カードを取り出して見せた。
「冒険者か、問題を起こすなよ」
何やら冒険者に対してすごい偏見を持っているようだが、この街で、最近冒険者が何かやらかしたんだろうか。あとでギルドに行ったら聞いてみよう。
それでも問題なく街に入って少ししたところでカイナが言ってきた。
「ずいぶんと、冒険者を毛嫌いしているように見えたよね。もしかしたら、誰か何かやったのかしら」
「俺もそう思ったよ。あとでギルドできいてみよう」
「そうね」
そんなことを話しながらしばらく歩いていると、やはりあたりを見たレーヴェが騒ぎ出した。
『あれ何かしら』
「ん、あれか、えっと、なんだあれ」
それは俺にもわからなかった。
「私もわからないわね」
カイナにもわからないらしい、もしかしたらこの国独特に何かかもしれない。
「聞いてみるか」
「そうね。あっ、ちょっといい」
「おう、何だい嬢ちゃん」
「それは、なんだい」
「こいつかい、もしかして、外国から来たのか」
やはり、この国独特のものらしい、俺たちが尋ねたおっちゃんがすぐに俺たちがこの国の人間じゃないことに築いたのがいい証拠だ。
「ああ、俺はアーバイトで……」
「私がダルソールよ」
俺たちはそれぞれの出身国を言った。別に隠すことでもない。
「なるほど、ということは、大きな街もここが初めてってとこか」
「そうなるな、宿場町や国境の街だからな」
「私も同じね」
「なら、説明してやるよ。こいつは……」
おっちゃんの説明によると、今俺たちの目の前で繰り広げられているものは、ハリルという収穫祭で、主に子供が思い思いに仮装し街を練り歩き、大人から小さな饅頭(中身は子供向けに甘い物)をもらうというものだ。
この饅頭には子供たちにすくすく育てよという願いを込めたもので、子供たちが仮装しているのは、特に意味はないそうだ。なんでもいつのころからかどこかの子供が、饅頭をたくさんもらおうと何度も変装して、繰り返し同じ大人から饅頭をもらっていた。
それを見たほかの子供がまねをしたのが始まりだという説があるそうだが、そこはよくわかっていないそうだ。
というわけで、この時期になると、この国ではあちらこちらで見られることらしい。
「へぇ、面白いわね」
「そうだな。あの饅頭もちょっと食ってみたいよなぁ」
俺はしみじみそう思った。なぜならそれを食べた子供たちが本当に美味そうだったからだ。
「おう、だったら、食ってみるかい、余ってるからな」
なんと、そこでおっちゃんからの一声があった。
「いいのか」
「ああ、ほら」
そういっておっちゃんは俺とカイナに1つずつ渡してくれた。
そして、それを食べてみると、饅頭の皮は程よい薄さで、中に入っている。なんだろうか、甘さの感じからたぶん何かの果物を甘く煮た。そうだ、ジャム、でも俺が知るジャムよりも水分量が少ない、でも、甘すぎないそんな味だった。
「これ、中身、クアーブの実?」
カイナは中の果物を知っていたようだ。
「おっ、よく知ってたな。そうそう、そのクアーブの実だ」
「なんだそれ」
「クアーブの実は、この辺りでよくとれる実でな。1つ1つは小さいんだが、これがまた甘くてうまいんだ」
「へぇ、なるほどね。知らなかったよ」
「私の故郷にはたまにあったから、私も時々食べていたのよ」
そういってカイナは懐かしそうに饅頭の残りを食べていた。
「そんじゃ、そろそろ行くか」
「そうね」
それから、おっちゃんと別れて俺たちは冒険者ギルドへと向かった。
「ようこそ、デリバール冒険者ギルドへ、どうされました」
やはり受付の美女がそう言ってきた。
「パーティー登録をしたいんだ」
「はい、パーティー登録ですね。でしたら、カードをお出しください」
言われて俺とカイナは冒険者カードを出した。
「えっと、カイナさんと、ノーランさんですね。パーティー名はどうされますか」
受付嬢の美女がそう聞いてきたので俺は事前に決めていた名前を言った。
「ボルグで頼む」




