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剣と少年  作者: 敦
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第29話 対決

 ディノシス教団の驚くべき計画を聞かされた。しかも、それに多くの人間たちがかかわっているという事実にショックを受けながらも、このまま放置することはできない。そう判断した俺は、悪魔族を攻撃するふりをして、魔法を使い後方にいた黒ずくめの人間たちを全員始末することにした。

 その方が彼らのためになるからというのが主な理由だ。

 どういうことかというと、これはレーヴェに聞いたことだが、俺たち人間は神に作られた存在であるがゆえに、死んでも転生することができる。

 しかし、悪魔族は邪神が人間に対抗して作った存在となる。そして、邪神にとって悪魔族とは単なる駒に過ぎない。そのため、死んだ場合その魂は邪神にその経験とともに食われるか戯れにおもちゃにされる運命となる。

 つまり、黒ずくめの連中は今の段階では人間として死んだことになり次に転生できるが、もし悪魔族になってしまった場合は、悪魔族と同じ運命をたどることになるということだ。

 だからこそ、今、俺は殺した。

 そして、2撃目に上空にいる悪魔族を切り上げたわけだが、どういうわけか、受け流されてしまった。

 これにはさすがに驚いた。

 なぜなら、力で圧倒できるはずの悪魔族が技術を会得する理由がないからだ。

「力で圧倒できるからといって、技術を得ないのは愚か者のすることだ。そういう奴は、下級の悪魔族と決まっている」

 というのが、驚愕している俺に対する悪魔族の答えだった。

 なるほど、一理ある。しかし、悪魔族が技術を持つ、これは由々しきことだ。

 なにせ、人間がスキルという形で技術を得ているのは、非力である人間が悪魔族や魔物に対抗するためだ。

 そうしないと、人間はあっという間に最弱の魔物にすら殺されてしまうからだ。

『予想外だったな』

 俺はたまらずレーヴェにそういった。

『ええ、ほんとにね。でも、勝てない相手じゃないでしょ』

 そう、確かにレーヴェの言う通り少々手こずるが、勝てない相手ではない。

 その証拠に、俺はすぐに切り替え、次の攻撃に移っていた。


 それから数分、俺は悪魔族と数合切り結んでいた。

 そんな俺の後ろの方では毛布を羽織ったマルティナが、茫然として見つめている。

「す、すごい……」

 マルティナそう小さくつぶやいた。

「人間の分際でまさかここまでやるとは、しかし、これで終わりだ」

 悪魔族がそういって持っていたナイフを懐にしまうと、どこからともなく剣を取り出した。

 なんだ、異空間収納?

『あれは、あなたの異空間収納とは違うわよ。あれは、悪魔族が独自の魔法で作っている空間に物をしまっているだけよ』

 俺が不思議に思っているとレーヴェが答えてくれた。

『なるほど魔法ね。そういえば悪魔族は俺たちとは違う系統の魔法を使うんだっけ』

 そう、俺たち人間はスキルによりいくつかの系統の魔法を使う。そのため、人間はスキルをまず獲得しなければ魔法が使えない。

 それに対して、悪魔族は生まれながらにして、独自の魔法を使うことができる。今この悪魔族が使ったのはその独自の魔法で俺のスキル、異空間収納と同じような機能を持たせた魔法だということだ。

 そして、悪魔族はその剣を構え、一気に迫ってきた。

「死ねぇ」

 ものすごい殺気だ。さっきまでとはけた違いだった。

 それでも、俺を倒すには至らない。

 相手が必殺の一撃を繰り出すならそれに応え、俺も技を出すべきだろう。

 そこで出したのは三連斬という技で、この技は文字通り3回連続で切りつけるというもので、まず初撃で打ち下ろし、2撃目で切り上げる。そして、最後に刺突というものだが、実ははたから見るとこれらは1撃に見える。つまり、それほどの速さでの攻撃となる。

「“三連斬さんれんざん“」

「ぐぎゃぁ」

 俺の技が当たった瞬間、悪魔族は派手に吹っ飛び壁にぶつかった。

 しかし、この技では倒すには至らなかった。

 もちろん俺もこの程度の技で倒せるとは思っていない、そこで、素早く接近し更なる追撃。

「なめるなぁ」

 それを見た悪魔族は気合を入れなおしたのか、叫びながら迎え撃とうと斬撃を繰り出してきた。

 そのため俺は追撃を中止しレーヴェでそれを受け止め、後方へと飛びいったん距離を置くことにした。

『さすがに、強いな』

『そうね。前に戦った悪魔族とはずいぶんと違うわね』

 レーヴェもこの目の前の悪魔族に驚いているようだ。

 確かに、この悪魔族の強さはミルダンジョンで戦ったやつとはかなり上だろう。

「いやはや、まさか、この俺の技が通じないばかりか、反撃されるとは、思わなかったぞ人間」

「それは、こっちのセリフだぜ。悪魔族」

「クックツクッ、これは、面白くなってきたな」

 悪魔族は心底楽しそうにしながら剣を構えた。

「俺としては、あまり楽しくないがな」

 これは本音だ。正直悪魔族なんてものはさっさと始末してしまいたい。

 そこで、俺も少々本気を出すことにした。

『いくぞ。レーヴェ』

『ええ』

 それから再び数合、悪魔族の剣と俺のレーヴェが打ち合いを始めたのだった。


 こうして、どのくらいたっただろうか、徐々にだが俺の方が押し始めていた。

「くっ、くそっ、うおりゃぁ」

 悪魔族が渾身の一撃を放ってきた。

「お返しだ」

 それを受ける俺もまた強力な一撃を放った。

「ぐぎゃぁぁ」

 その攻撃により、悪魔族の腕が剣ごと切れ飛んで行き壁に激突、粉砕した。

「とどめだ」

 そのすきを見逃す俺ではない。そこで俺は素早くレーヴェを振り下ろして、悪魔族を頭から股下まですっぱりと切り裂いた。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」

 そんな叫び声とともに悪魔族は息絶え、その体は塵となって消えた。

「終わったな」

『そうのようね』

 ようやく悪魔族との戦闘が終わったようだ。

 本当に強い悪魔族だった。

『なぁ、もしかして、悪魔族ってこいつぐらいみんな強いのか』

『さぁ、私は知らないわ。でも、そうだとしたら、ノーランにはもっと強くなってもらわないといけないわね』

『そうだよなぁ』

 俺は今後のことを考え少し憂鬱になった。

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