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白い夜
意味の在り方など分からないまま
白夜に言葉を詰め込んだ
辞書の文字をつまみ食いして
この言葉には意味があるのだと
納得という名の錯覚
意味などないと言われることを
誰よりも何よりも恐れ
その実そこには意味などなく
そのくせこれ見よがしに胸を張って
自信という名の虚勢
そもそも意味を問うこと自体が
途轍もなく無意味だと
薄眼を開けて悟れたらよかったのに
存在に縛られた身体は模造品で
夜に解放された心の臓を
どこまでも遠くに放り投げたい
けれども行き着く先はやっぱりここで
不自由な身体は居心地がよく
かじかんだ指は不恰好に落ち着いて
不気味な思考が耳に馴染んで
どうしようもなく醜悪な物語を
どうしようもなく愛おしく撫でる




